Zionクライミングレポート

場所:ザイオン国立公園 ユタ州
2017/04/29 - 2017/05/07(うち、ザイオン滞在は4/30 - 5/5の6日間)



GWの9連休を利用して、ザイオンでクライミングを楽しんできました。
一昨年夏のスコーミッシュ、昨年GWのインディアンクリーク、昨年夏のヨセミテに続く海外遠征です。

GWに海外に行くと決めたのが2月末。
直行便での航空券で日程の良いものが見つからず、北京経由ロサンゼルス行きの9万円代の航空券に惹かれてとりあえずロサンゼルスから行ける岩場にしようということになりました。
ジョシュアツリーは暑すぎるだろうし、レッドロックスはアプローチが意外と長い上に敷居も高く感じたのでザイオンに決めました。トポを買ってみて、レッドロックスよりも情報が詳しく載っているというのも決め手でした。

しかし、ロサンゼルスから車で6時間以上かかるため、移動にかなりの時間がかかりました。実質クライミングできる日程は5日間でした。
また、猛禽類が営巣中のためクライミングが禁止されている壁が多数ありました。私たちの登りたいルートは幸いなことに登ることができました。


日程概要:

<行きの移動>
 04/28 羽田空港前泊
 04/29 07:20 羽田空港発 中国国際航空(エアチャイナ)   
       09:00 北京経由でロサンゼルス国際空港着
      ロサンゼルス近郊にてストーニーポイント、デビルズパンチボール立ち寄り
       19:00 バーストー着 モーテル泊
 04/30 06:00 バーストー発
             11:00  スプリングデール着(Zion Canyon Campground)

<Zionクライミング>
 04/30 Big Bendバス停付近にてCynthia's Hand Job(II5.10 2P)
 05/01 Temple of shinawavaバス停付近にてRight Toilet Bowl Crack(III5.10- 5P)
 05/02 Zion lodgeバス停付近にて Iron Messiah (III/IV5.10 8P)
 05/03   午前中レスト 
       午後 Headache(II5.10 3P)
 05/04 午前 Cowboy Ridge(III5.7 アプローチ敗退)
     午後 ドライブ、トレッキング

<帰りの移動>
 05/05 キャンプ撤収、ロサンゼルスに移動
 05/06 11:00 ロサンゼルス国際空港発 
 05/07 23:00 北京経由で羽田空港着


以下、登ったルート(&登ろうとしたルート)についてZion滞在日程ごと記載します。



Zion1日目

Cynthia's Hand Job(II5.10 2P)


2P目のコーナークラック。

ロサンゼルス到着後、近くの岩場で軽く登ってから移動する予定で、
デビルズパンチボール に立ち寄ってみたのですが、壁を前にして登る気になれず、ハイキングだけになってしまったので、ザイオン到着後は早く1本登りたくて仕方ありませんでした。

スプリングデールの街に到着したのが昼過ぎで、キャンプ場にテントを張ってからザイオン国立公園に徒歩で入り、シャトルバスで移動して、取り付きに着いたのが15:00くらいになってしまいました。
※4月〜10月は、ザイオン国立公園内は車で立ち入れる場所が限られています。それでも車で入れる南口には休日は長蛇の列ができていました。Zion Canyon Campgroundは公園の外の民間宿泊施設で若干高めですが、歩いて公園に入れる場所にあり、シャワー料金も含まれているので利用してよかったと思いました。

Cynthia's Hand Jobはバス停からすぐの場所にある綺麗なコーナーのハンドクラックで、2P目の上部はインディアンクリークのインクレディブルハンドクラックにも劣らない長いパラレルなハンドクラックです。
1P目の見た目はパッとしないですが、それなりに面白かったです。


1P目のクラック。

早く登りたくて、15時くらいに登り始めたのですが、かんかん照りの暑さで、汗でテーピングがベロリ剥がれてしまい、2P目はテーピングなしで登りました。手の甲の皮がズル向けになってしまいました。あと1時間くらい待っていれば日が陰って快適だったのですが・・・


Zion2日目

Right Toilet Bowl Crack(III5.10- 5P)


バス停から見たToilet Bowl Crackのある岩峰


2日目は午前中日陰で快適だというトイレットクラックへ。
名前の通り、トイレの裏側にあるクラックです。ザイオン初心者向けの良いクラックとトポにあったので、2日目に持ってきました。上の写真の岩塔の裏側を上まで5ピッチで、時々チムニーになるコーナーを登っていきます。


2P目をフォローする私。




終了点、岩峰の上からの景色が素晴らしい。

下降で投げたロープの結び目がスタックしてしまうアクシデントがありましたが、今回はロープを切らずに済みました(※)。この後、ロープを投げずに末端をコイル巻きにして下降することにしました。
※キャッスルトンタワー下降の時は新品の70mロープを切らざるをえず、65mロープになってしまった苦い思い出があります。


Zion3日目

Iron Messiah (III/IV5.10 8P)


Iron MessiahのあるSpearhead

今回の登りたいルートNo1。写真の岩峰のやや右側に見える顕著なコーナー部分を登ります。私は勘違いしてZion Lodgeバス停からアプローチしましたが、Grottoバス停からの方が近かったようです。Zion Lodgeバス停からは40分くらいかかりました。でも途中滝があったり、岩の間を抜けたり楽しいトレイルだったので、よかったかなと思います。取り付きもほとんど迷わずに行けました。

人気ルートだと聞いていたので、順番待ちするかと思いましたが、誰もいませんでした。それどころか今回のZion滞在中、クライマーをほとんど見かけませんでした。5月は暑いからなのか、もともとそんなに混まない場所なのか・・・
この日の朝一のバスには他に2組のクライマーがいましたが、どちらもホールバックでした。1組はソロでした。デカくて強そうな人でした。

最初のフェースは少し暑かったですが、その後ほとんどチムニーとコーナーだったので涼しくて快適でした。


オリジナルではなく、Aluminium Messiah Ver.のグルーブ部分。
ビレイヤーにはプロテクション決まっているか見えないのでちょっとドキドキします。



最終ピッチは50m以上ありました。


終了点からの風景。


このルートの「ボルト」はほとんどピトンでした。穴を開けてピトンを打ち込んであるのですが、こういうのは初めて見ました。

ロープがかなりキンクして絡まり、下降に少し時間がかかってしまいました。最終バスの正確な時間を覚えてなくて焦りましたが、間に合いました。間に合わなかったら、3時間くらい歩かなければならなかったかな?

後で知ったのですが、車で入るための許可が別途取れるようです。駐車してあるクライマーのものと思われる車のフロントガラスに駐車許可証が掲示してあったのです。ただ、ナショナルパークの公式ページには記載がなく、一般の人がクライミングのために許可が取れるかどうかはわかりません。


Zion4日目

The Headache(II5.10 3P)


先にHeadacheを登っているスペイン人チーム

午前中はレストし、午後から車で入れるTonnnel WallにあるHeadacheを登ることにしました。Headacheはトポに「CLASSIC!」と大文字で書かれているほど、人気の名ルートのようです。取り付きに行くとすでに1組が最終ピッチを登っているところでした。

彼らが下降するのを待ってから取り付きました。岩壁で他クライマーに遭遇したのはここだけです。彼らも腕っ節の太くガタイのいいおじさんです。Zion滞在中に見かけたクライマーはみんな大柄・・・


1P目 綺麗なハンドクラックから始まります。ただ、私の小さい手にはワイドハンドでした。



2P目 終了点付近をフォローで上がる私。最後の方は傾斜が落ちて、易しいですが、高度感があり爽快です。


3P目は木に向かって伸びるクラックを登ります。


最終ピッチビレイ点からの眺め。

北西面のため終始日陰で快適でした。


Zion5日目

Cowboy Ridge(III5.7)

Iron Messiahの次に登りたかったのがCowboy Ridgeでした。
クライミングの難易度は高くないものの、眺めのいい長い稜線歩きは魅力的に思えました。


日の出とともにアプローチ開始。目指す岩稜ははっきり見えます。

SuperTopoのザイオン編ですが、ここまで取り付いたルートについてはアプローチやルート内容の情報がかなり正確でした。
しかし、トポのアプローチ案内通りにハイキングトレイルを通って国立公園の境界を越えて、分岐するはずのクライマー道が全く見つかりませんでした。Cowboy Ridgeもクラシック人気ルートの1つなので、トレイルは明瞭だと思っていたのですが、それらしい踏み跡はありませんでした。
低い潅木しかなくどこでも歩けそうな感じなので、取り付きと思しき岩稜の基部まで目指して進みました。


歩くこと3時間。来た道を振り返るとかなりの高度登ったことがわかります。

台地に上がる急斜面は、登れそうなところが限られており、その部分はケルンや踏み跡がありました。しかし台地に上がってしまうとまた踏み跡を見失ってしまいました。
壁はずっと見えているので、リッジの低くくぼんだ箇所を目指して適当に進みました。


たどり着いた壁。

なんとか壁際まで来たのですが、壁も大きく、トポにあるような4級程度のチムニーには見えません。
壁沿いにトラバースしようとしたものの、急斜面が所々あり一旦壁から遠ざかる必要がありました。かんかん照りの暑さとここまで4時間、ほとんど道無き道を歩いた疲れで、どうしても登りたいという意欲がわきませんでした。それに、この時点で水を半分以上消費してしまっていたのです。



諦めて下山です。前方には瑞牆山にも似たイーグル山が見えます。


私たちが辿り着いたのは青丸の基部。
本当の取り付きはおそらく赤丸の部分あたりと思われます。
もっと低い位置から左にトラバースしなければならなかったのか・・・いずれにせよ、人気ルートだからとアプローチをなめていたのが敗因です。それから砂漠の暑さにもっと警戒すべきでした。Cowboy Ridgeの適期は早春と書いてありましたから。

下山中、ケルンをたどったら涸れ沢にたどり着き、沢沿いに歩いたらトポに書いてある場所とはだいぶ違う場所でハイキング道と合流しました。この道は歩きやすく2時間くらいで下山できました。




悔しいアプローチ敗退でしたが、6時間以上ウロウロして景色やサボテンの花が楽しめたことは良かったです。
下山後足がチクチクするなあと思ったら、細かい棘が皮膚にたくさん刺さっていました。砂漠の植物と暑さをたっぷり堪能できました。


この後、たっぷり水分補給してからチェッカードメサを見に行きました。


Checkered Mesa

なだらかな格子状にクラックのある岩壁で、一応ルートがあるのですが、核心はどこでピッチを切るか、だとか。

最後はアプローチ敗退というなんともキレの悪い終わり方となってしまいました。
Cowboy Ridgeは再チャレンジしたいですが、早春(3月くらい?)に来れる機会があるでしょうか・・・


Zionは同じ砂岩のインディアンクリークと比べて、フェースホールドが豊富だなと思いました。

この写真だとわかりにくいですが、白い部分が凹んでいて、黒い部分が飛び出しています。こんな感じでガバカチがたくさんある部分が結構ありました。

石灰岩も混じっているらしく、チムニー内部が石灰岩ぽい形状のところもあって面白かったです。キャッスルトンタワーのチムニーみたいにツルツルではありませんでした。

Zionで登ったルート以外のこと(移動、デビルズパンチボール、動物など)で、色々面白い事もありましたが、それはまた別の機会に書こうと思います。






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