リベンジ・バガブー 登山編


アプローチ編に続き、バガブー登山編です!
アプローチと下山を除いて、5日間、バガブーを楽しみました。
全部で5つの岩峰を登り、真ん中のレスト日にはボルダーとハイキングをしました。

Bugabooから見たSnowpatch spire


■3日目 Spire1 Bugaboo

キャンプ場に着いて翌日、早速Bugaboo Spireです。

Bugaboo Spire / Kain route (5.6)をやりました。

Bugaboo Spire に登るならば、本当はNorth East Ridgeの方が良いと思ったのですが、下降ルートが未知の状態で、明るいうちに帰ってくる自信がなかったので、同ルート下降するKain routeを選択しました。
初登ルートで、クラシックには違いないですし。

Bugaboo-Snowpatch col

まず心配だったBSコル(Bugaboo-Snowpatch Col)ですが遠目に見た感じ、大丈夫そうで一安心。今年は剣の長次郎谷や北穂沢などを経験して雪渓に少し自身が出てきた感じです。が、アイゼン(ペツルのレオパード)をあまり丁寧に着けなかったせいか、気温が低い&下部踏み跡ない箇所から登ったせいか、アイゼンずれてしまい。。手間取ってコルまで2時間もかかってしまいました。
最後コルに上がるところだけガレガレになっていて、落石起こさないよう慎重に登らないとまずい感じでした。
とりあえず、今回の最大の核心は通過できて一安心。
他にもコルを登るパーティーが2組ほどいましたが、みんなハウザーの方へ向かって言ってしまいました。

Vowell Glacier

コルに上がると、なんとトイレの標識がありました!
取り付きに用意してくれるなんて、なんて素晴らしいんでしょうか。
標識の方へ行くと、なんとオープンエアーなトイレ。
最高です。
最高のトイレ

Kainルートは大人気だそうなので、踏み跡ばっちりかと思いきや、みんな思い思いに稜線登るためか、よくわからず、たまにあるケルンを目印に適当に上を目指しました。
上の方に先行パーティーがいるようです。
Kainルート

ジャンダルムまではロープ出さず、割といいペースでした。
稜線歩き

ジャンダルムの前で、アックス、アイゼンを置いていくことにしました。コルに置いてきてもよかったかも、と思いました。

ジャンダルムはまだ見えない

意外とトリッキーな5.6の核心を経て、せっかくなのでクラックを選んで頂上に抜けました。
最後のクラック

頂上にて

いくつかのパーティーがNorth East Ridgeからやってきて、下降は一緒です。
背後はジャンダルム

登りは道迷いもなく、下りも懸垂はわかりやすく整備されていました。
ただ、稜線を下るとき、ケルンはあるけど変な道がたくさんあるので、稜線をできるだけ外れないように気をつけないといけない感じでした。


BSコルの下降は、ラッペルの支点が見つからず、結局クライムダウンして降りました。前のパーティーもみんな歩いて降りているようでしたし、登りと少し違うところから回り込んだらガレガレを避けて降りられました。
途中、上部から落石がありました。怖いのでなるべくさっさと降りました。
下りは踏み跡をずっとたどっていったら、もう直ぐダメになるっぽいシュルンドの前に出てしまいました。翌日になったら、シュルンドを避けた別の道が出来上がっていたので、みんなダメだと判断したんだなーと思いました。

明るいうちキャンプ場について、楽しいゆうげの時間です。夜9時頃まで明るいので、テントの外でまったりしました。

テントの中に入ってみたら、リスがテントかじってしまった穴が見つかりました。

リスのかじった跡

食料の袋をの切れ端を内側のポケットに入れていたのですが、そこを狙ったようです。匂いがしていたのでしょうか。この後は、食料に関するものは小さなゴミでもテントから出すように気をつけました。

近くのクライマーがジリスに岩を投げつけていました。かなり本気で当てに行ってました。

テントを齧られても、私はやっぱりジリスが可愛いと思います(餌は絶対にあげませんけどね)

夕飯はカレー


■4日目 Spire2 Crescent Spire

2つ目はCrescent SpireのMcTech Arete10-です。
アプローチも近く、ルートも短いので少々遅めの出発。
Crescent Spire

昨日同様、BSコルの基部までのトレイルを行ってから、Crescent Glacierを横切って行きました。が、アプローチはいろいろあるようで、氷河の湖沿いにキャンプ場から直線的にやってくるクライマーが続々現れました。
Crescent Glacierの湖 初日は氷が張っていました

取り付きに行くとすでに2パーティーが待っている状態。その後もたくさんのパーティーがMcTechに並んで、大混雑でした。前のフォローが出発したらすぐ次のリードが登り始める数珠つなぎとなりました。もう一つのPaddle Flakeも同様に混雑。

McTechのある壁は、真っ白ですっきりとした綺麗な花崗岩です。
McTechの1P目

基部に荷物をデポしましたが、リスが心配なので、食料は鍋に蓋をして岩を置いて外に出しておきました。

背後はBugaboo Spire

ルートは迷うことなく頂上まで抜けました。
Crecsent Spireの上から

下降ラインもほぼまっすぐでしたが、60mロープ1本だとかなりギリギリでした。こちらでは70mシングル1本で登る方が圧倒的に多いようです。
お隣のCrescent TowerのLion'S Wayも大混雑している模様でした。キャンプ場で、テントが隣になった日本人パーティーの日本語のコールがよく聞こえました。

帰りは、湖沿いの道から帰ることにしました。キャンプ場までの間、氷河が溶けた湖が3つあり、その1つは水場の水源になっています。聞いた話によると、アメリカ人男性が全裸で泳いでいたらしいです。水源の湖じゃないといいんですけど。

アプローチの荷担ぎと昨日のKainルートの疲れも溜まっていたせいか、足がかなり疲れていました。この日は暑く、キャンプ地で気温をみたら25度以上ありました。

夕飯は稲庭うどん(揚げ玉入り)、デザートに大量のおしるこ(餅入り)を食べました

夕飯は稲庭うどん(揚げ玉入り)


■5日目 レスト日

疲れも溜まってきたし、ちょうど滞在期間の真ん中なので、この日はレスト日としてゆっくり過ごしました。
朝ごはん

朝、日が昇ってから起床し、トイレにいくとふくらはぎにテーピングぐるぐる巻きで血の痕が痛々しい男の子がいました。私たちと同じタイミングでバガブー入りした子です。話を聞くと、昨日下降中に落石が当たったとのこと。
ひどそうな怪我の割には、バガブーで登ったルートのことなど楽しそうに話してくれました。

昨日の帰りに通った道から湖畔にいき、湖で体を洗いました。冷たいので、一旦沸かしてから蒸しタオルにして体を吹きました。気温20度以上とはいえ、さすがに、氷の浮かぶ湖で泳ぐ気にはなりません。
氷河の氷で冷やし固める

氷を集めて、ココアプリンを冷やし固めたり、そこらにあるボルダーを適当に登って遊びました。
ココアプリン

氷河湖でボルダー

湖には落ちたくない

ここからはCrescentの壁がよく見えるのですが、この日はMcTechに誰も登っていないみたいでした。波があるんでしょうか。Lion's WayやBugaboo Spire、Snowpatchの壁には人の姿がちらほら見えました。Snowpatchにはポータレッジが設置されて、なにやら難しそうなルートをトライしている人たちがいました。5.14とかでしょうか。
SnowPatch Spire。よく見るとポータレッジがあります

キャンプ場に戻ると、ヘリがやってきたところでした。
アルパインヘリ、到着

何かと思えば、今朝話した怪我をした男の子を搬送するためでした。
ヘリ

せっかくのバガブーで残念だなと思いますが、怪我人本人は陽気な感じで、最後は手を振ってヘリで去って行きました。

夕飯はタコス


■6日目 Spire3 Snowpatch

レスト日のおかげで、体力も回復し、滞在中一番早起きしてSnowpatchのSurfs Up 5.9に向かうことにしました。BSコルも2回目なので、30分短縮して登れました。が、この数日でコルの状況がかなり変化していました。基部からの新しい踏み跡ができ、下部は登りやすくなったのですが、後半は暑さで雪が解けたのが凍って氷壁のようにツルツルになった箇所があり、シュルンドが大きくなったりしていました。最後のガレに移る部分も、浮石が多く、慎重に行ったはずが大きな落石を起こしてしまいました。幸い、後方にいたパーティーは落石に警戒して安全な場所で待機していてくれたので、誰にも当たりませんでした。

コルからVowell GlacierをSnowpatch沿いに行きました。平らなのでSurfs Upのある西端までは割とすぐなのですが、取り付きまでのガレ場がかなり悪かったです。
ガレをなんとかやり過ごして、基部につきましたが、スタート地点がわかりにくくウロウロしました。
その間に、BSコルで後ろに見えた2人組もやってきました。彼らも、BSコルは悪くなっていて、あと1週間もしたら登れなくなるかもしれないと行っていました。

Surfs up 2P目。寒い。

日が当たらない上、風が強くて寒かったのですが、1、2P目は順調にこなし、核心の3P目となりました。3P目、5.9にしては登りにくいなーと思っていたのですが、4P目を登り始めて3P目からルートを間違ったことに気づきました。
間違ったルート

間違えるパーティーが多いのか、下降用のスリングもあったので、一旦�2P目の終了地点まで降りてやり直しです。その間、後続の2人組は正規ルートをサクサク行ってしまいました。さらに後ろから別のカップル2人組が続いていました。Surfs Upも人気ルートです。その後にも何組か来ているようでした。

本来のルートに戻り、3、4P目を終えると日の当たるSurfs Up Ledgeに出て、一気に赤着く暖かくなりました。
後ろのパーティーはゆっくりな模様なので、ここでランチタイムとしました。

暖かいレッジ。背後はPigeon Spire

真下は氷河が落ちるところ

ここからは氷河に向かって切れ落ちた壁となり、ロケーションの素晴らしい綺麗なクラックが続きます。
6P目のいいクラック

5、6、7と真っ直ぐ登るとSnowpatchの肩につきました。
7P目、高度感あります

ここからは頂上も見えず、こっちでいいのか?と思いながら進みました。
頂上へ向かう

BugabooやCrescentと違って、頂上への稜線は尖っていて、高所恐怖症の私は怖かったです!

下降点のある窪地まで行くと、トポの写真の通りにSnowpatchルートからやってくるクライマーと遭遇しました。
彼らは何回もSnowpatch spireを登っているようで、頂上には興味ないようでした。
私たちは初めてなので、SnowpatchのSouth Summitまで行きました。わざわざ(?)スラブ面から登りました(私はフォローです)。

頂上からBugaboo Spireを眺める

頂上から、下降点を眺める

下降点に戻ると、Snowpatchルートから来たベテランが下降を始めていました。McTechで60m一本でギリギリだったこともあり、60mロープでいけるのか聞いてみると、Very Easyで30mごとしっかりした支点があるとのことでした。でも、彼らは60mダブル2本で降りて行きました。

実際、下降はかなり快適で、スタックや落石の心配もなく、60m1本で全く問題なしでした。

下降した後、取り付きまではガレもひどくありませんでした。
取り付きより下のガレをベテラン2人がどのように下るか見たかったのですが、地形的に見えませんでした。もしかするとBSコルではなくBugaboo Glacierを経由する別のアプローチ道から懸垂をして帰ったのかもしれません。

Surfs Upにはもう人影がなく、取り付きには私たちの荷物以外はありませんでした。後続の2人組はガレ場のもっと下の方に荷物をデポしていたようです。
帰りは悪いガレを避けたかったので、一番端に薄く残った雪渓を使って降りることにしました。もう少し早い時期だと、みんなこの雪渓を使って登っているんじゃないかと思いました。

雪渓を降りたところ

端っこの雪渓を降りてるところ

BSコルへ帰る

BSコルの状態が悪くなってきているので、降りるのが心配だなと思いながら行くと、数パーティーが懸垂で降りていました。
先日Kainルートの時は全く目に入ってなかったのですが、立派なラッペルステーションがコルの降り口にありました。
60mの懸垂2回でなだらかな雪面まで降りることができました。

この日が一番行動時間が長くなりました。悪いガレのせいですね。

クレバスを開けてみました

この日もカレー

カレーの残りご飯で雑炊も食べました。



■7日目 Spire4 Pigeon Spire / Spire5 Eastpost spire

バガブーに来る前は、バガブーは天気が変わりやすく毎日登れないのではと心配していましたが、最初の日の午前中の雨以降、滞在中はずっと晴れで雨の心配は全くありませんでした。登りたい3つのSpireが終わってしまったので、予備案であったPigionとEastPost2つを登りました。

Bugabooのトポを最初読んだ時、PigeonやHoeserは遠くて無理だ!と思っていたのですが、周りのクライマーが普通にApplebeeから行っているのと、実際にBSコルから見てPigeonは近そうに感じたので行ってみました。昨日、Snowpatchから見たときもPigeonの頂上には人がたくさんいるようでした。

それにPigeonに行きたいのにはもう1つ理由がありました。
Pigeonの初心者向けのいいルートWest Ridge(5.4)の取り付きにはBSコルト同じくトイレがあるらしいのです。

3回目のBSコルは慣れたもので、らくらく、といいたいところですが、やはり抜け口のガレは緊張しました。
Vowell glacierには赤い雪

赤雪現象

Vowell Glacierを横切ってPigeonのWest Ridgeまでは写真を撮ったりゆっくり歩いても40分ほどでした。

お目当のトイレも使用しました。オープンエアートイレ、日本でも採用されないでしょうか。
ここからハウザーとピジョンの間のコルが見えるのですが、テントが何張か見えました。公園内でのビバークは禁止では?と思い後で調べたところ、このハウザーの取り付きでは申請すれば2泊までOKでした。クライマーのことを配慮している規則だなと感心しました。

West Ridgeにはすでに何パーティーか入っていて、直前に初心者の2人組がいました。彼らはBSコルを避けてBugaboo Glacier経由で来たと行っていました。キャンプ場でも、BSコルは危ないんじゃないかと他の初心者パーティーにも聞かれましたが、どうやら皆、先日の怪我人の情報を聞いていたようです。

頂上は特徴的な形をしている

ハウザーをバックに変化のある稜線を歩くとても気持ちのいいルートでした。
最初、風があって寒かった。ジャケット着ればよかったと後悔







簡単なルートなのでサクッと終わり、氷河歩きを堪能して、キャンプ場に戻ってご飯にしました。
その後、キャンプ場からよく見えるEastPostに向かいました。
EαstPostの頂上から。

尖った稜線

頑張って頂上の岩の上に立つ

EastPostはほぼハイキングで、キャンプ場から1時間ほどで頂上までいけます。
頂上からはマチュピチュを思わせるような要塞のようなキャンプ場がよく見えます。

キャンプ場は要塞のよう

帰って2回目のご飯を食べました。
たくさんあった食料も、もうほとんど残っていません。

(下山編へ続く・・・)



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