剱トレーニング

お盆休みを利用して、剱に行ってきました。
目的は来月(2017年9月)のバガブーに向けてのトレーニングです。



剱に行く前に、錫杖や滝谷などでも登りたかったのですが、週末の天候が不安定で、結局滝谷は登れず、体力的に少々不安があったものの、6日間バテずに剱を楽しむことができました。

今回は下記のようなことを目標にしました。
 1)食事の計画をきちんと立てる
 2)体力づくり
 3)クレバスレスキューのシステム確認
 4)新しいアイゼンとシューズの確認

日程概要
 8/12 室堂〜剣沢キャンプ場まで移動のみ
 8/13 本峰南壁A2ルート
 8/14 源次郎尾根Ⅰ峰上部岩壁成城大ルート
 8/15 熊ノ岩へ移動(クレバスレスキュートレーニング)
 8/16 八ツ峰Cフェース剣稜会ルート、真砂ヒュッテキャンプ場へ移動
 8/17 真砂ヒュッテキャンプ場〜室堂 移動のみ

※4日目に八ツ峰、5日目にチンネの予定でしたが、天候判断でこのようになりました。


■1日目 室堂〜剣沢キャンプ場まで移動のみ
前日、仕事→学校→夜発→扇沢でクタクタの状態で激混みのアルペンルートで室堂へ。
しかも雨。黒部ダムの放水を一応見学。
荷物は軽量化の甲斐あって18kg/1人。


剱御前小屋を過ぎたあたりで天気は回復。


剱沢キャンプ場は大繁盛でした。
1張り1000円、2泊以上は値段変わらないという素敵なキャンプ場です。


剱岳も見えてきてテンションUP。


1日目の夕飯は豪華にスパム丼。


ヤマナメクジ?がいました。日本にもこんな大きいナメクジがいるんですね。
翌朝、テントの中にもいてびっくりしました。




■2日目 本峰南壁A2ルート

私は剱自体初めてで、パートナーは剱頂上に行ったことがないというので、最初は本峰南壁A2ルートを選択しました。

朝ごはんはリゾット。


頂上まで、ヘッデンの光が続いています。


出発してすぐに日の出。


前剱ではブロッケン現象を楽しみました。


予想通りの大混雑。これでも空いている方らしい。


取り付きに行くとすでに3人パーティーが待機中。前方に2パーティーいて、学生パーティーがやたらと時間かかっている模様。取り付きで1時間以上待ちました。後ろにも3パーティーほど続きました。
学生さんたちはどうやら自分たちでハーケンうったり抜いたり、後輩の指導などしているため時間かかっている模様。天気がいいので、ゆったり待って登りました。
前後の大阪のパーティーの方々とも交流して、いい時間でした。

今まで聞いたことのない鳥の鳴き声がすぐ近くでして、興奮して「鳥がいる!」と行ったら前にいたベテランさんがしていた時計の音でした。
時計から時々鳥の鳴き声がして、高度を読み上げて、一言「楽しんでますか?」「気をつけてくださいね」とか言ってくれる面白い時計です。「楽しんでますか?」と苦しい登攀中に言われたらイラっとするかもしれません。

壁からの平蔵谷の眺め。


A2の3ピッチ目。


途中、チンネもどきの小さな岩峰があったので、とりあえず立ってみました。


降りるのは慎重に・・・


渋滞で結構な時間がかかってしまいました。日差しも非常に強かったのと、いつものように水をあまり持っていかなかったためか、帰り道、パートナーが熱中症気味になってしまいました。マルチピッチクライミングの時はいつも1日1人当たり水500mlしか持っていかないのですが、今回は少なすぎだったと反省しました。
途中の剣山荘、剱沢小屋でアイスが売っていないか確認しましたが、やはり売ってませんでした。

2日目の夕ご飯はボロネーゼ。今回唯一持ってきた生野菜、玉ねぎ入りです。




■3日目 源次郎尾根Ⅰ峰上部岩壁成城大ルート

3日目もなんとか天気は持ってくれたので、成城大ルートへ。
今回の山行で一番クライミングっぽいルートです。

スポルティバのTX4+ペツルのレオパードで雪渓歩き。足元が軽いのは大変快適です。


アプローチの源次郎尾根もそれなりに混雑していました。
上部岩壁へのトラバース道は、先行パーティーがいたおかげもあってすぐにわかりました。
ほぼ一緒にアプローチしていた某山岳会の人たちが、独自のコール(合言葉)を掛け合っていて、いいなと思いました。私はコールを鳥の鳴きまね(アオバトなど)にしようとパートナーに提案しているのですが、残念ながら永遠に採用されなさそうです。

ルート途中からの眺め。雲がいい感じです。


核心の4P目。


少し小雨がぱらついたりして、アルパインっぽい雰囲気に。


ルートの上の方はちょっとヤブっぽい部分もありましたが、概ねクリーンな壁でした。
Ⅰ峰頂上で、明日行く予定の八ツ峰をバックに数字のポーズ。



なぜなら、今日は私の誕生日なのです。何歳かは写真の通り!

尾根を下って、荷物デポ地点まで戻り、壁を振り返ってみました。
大きそうに見えるけど、実質5ピッチ程度。


帰りに誕生日のビールをかって帰りました。
夕飯はコンビーフハッシュ丼(写真なし)。


■4日目 熊ノ岩へ移動(クレバスレスキュートレーニング)
天気予報が悪かったので、登攀は諦めてクレバスレスキュートレーニングと移動のみにしました。
そのため朝はゆっくり6時半起き。
起きてびっくり、ラジオ体操が始まりました。
毎朝やっているんだと思いますが、これまで朝3時おきだったので、気づかなかったのです。第二まできっちりやってました。

天気のせいか、お盆休みも終わるせいかテント激減しました。


長次郎出合にてクレバスレスキュートレーニングしました。
他にも学生パーティーが雪訓してました。


雨が結構降ってきて、寒くなり、昼過ぎに熊ノ岩へ移動。
景色がないので、その辺の花を撮影。


水滴が美しい。


夕飯はチゲ鍋。



■5日目 八ツ峰Cフェース剣稜会ルート、真砂ヒュッテキャンプ場へ移動

天気はもうダメかもしれないと思いつつ、一応3時起床。
やはり雨が降っていたので、8時まで待機することにしました。
待機中、クレバスレスキューのシステムについてまとめたり、地図とトポを読んだりしました。地図っていうのは、想像力を掻き立ててくれる良い読み物だなと、あらためて感じました。

地図を見ていたら、帰りは真砂ヒュッテから黒部ダムまで歩いた方がいいんじゃないかと思えてきました。黒部ダムまで行けば、交通費が半分以上節約できる!2人で4000円以上の節約!

時々テントの換気穴から外を眺めてみると、


うっすら八ツ峰が見えてきた!


8時前くらいに天気がまあなんとかなりそうな雰囲気だったので、取り付きまで行ってみることにしました。Dフェースは取り付きまでの雪渓が悪そうだったので、Cフェースの剣稜会ルートを登ることにしました。

濡れてるけど、フリクションは良いので、問題なし。


時々晴れ間もあって、テントが小さく見えました(写真中央)



撮影ポイントの水平トラバースでオコジョのポーズ。背景がガスで残念。


下降中、雨がだんだん激しくなってきてずぶ濡れになりました。
大雨を警戒しテント撤収して真砂ヒュッテまで移動しました。
帰り道、昨日はなかった亀裂が雪渓に走っていました。こうやってだんだん崩れていくんだなーと感動しました。

真砂〜黒部ダムの道について、小屋で聞いたら、整備がまだされていないらしく「通れないこともない」状態とのこと。迷いましたがが、翌日仕事と学校の定期試験があるためリスクは取れず、また途中でサングラスを落としてしまったこともあり、剱沢〜室堂を行くことに決めたのでした。

最後の夕飯は2種類のパスタ。ダイソーの粉チーズ少量パックがいい感じです。




■6日目 真砂ヒュッテキャンプ場〜室堂 移動のみ

朝、起きてみるとなんと快晴!
ずぶ濡れ覚悟していたのでかなり嬉しい。


サングラスも回収して、剱沢キャンプ場にて濡れた装備を乾かして快適です。
剱岳は帽子をかぶって、天気の崩れる予感。
その通り、午後から雨、翌日大雨との天気予報でした。



天気が良いので、途中、剱御前山に登ってみました。


称名川の刻む谷がよく見えました。



6日間はあっという間でした。
思ったほど体も臭くなりませんでしたが、頭はかゆくなりました。
帰り途中の温泉で測ったら体重は2kg減。1kgは水分だと思われます。







最後に、今回の目標ごとの振り返りです。

1)食事の計画をきちんと立てる

バガブーには6泊するため、7日間の食料をどうするかを考える必要がありました。私は山に3泊以上滞在したことがないうえ、体の大きさの割には大食らいなので、どのくらいの食料なら耐えられるのか非常に心配だったのです。昨年のインディアンクリークでは、買い出しした食料がたりずにひもじい思いをしたので(わらび餅を食べる夢までみました)、今回は重量、カロリー、栄養価(特にタンパク質とカルシウム)をきちんと計算して食材を用意しました。
5日目の夜は満腹感がなく、もっと食べたいなあと思いましたが、食べ物の夢を見るほどでもなく、シャリバテもなく下山できました。
メニューも飽きないようバリエーションをもたせたところも良かったのですが、もう少し嗜好品(コーヒーなど)を持って行った方が良いと思いました。


 2)体力づくり
特に重い荷物を持って登る力がないことは自覚していましたので、事前に平日丹沢で歩いたりしました。週末、天気が悪くて穂高や錫杖など計画はあったものの登れなかったので、小川山で遠目のアプローチのところに行ったり、雨なら沢に入る、職場まで1駅歩くなどのことしかできませんでしたが、効果はあったようで、6日間歩行でしんどいことはありませんでした。


 3)クレバスレスキューのシステム確認
緩斜面での確認のみでしたが、実際に雪渓上でやるといろいろ工夫すべき点を洗い出すことができました。


 4)新しいアイゼンとシューズの確認
3シーズンのトレッキングシューズとアプローチシューズにそれぞれペツルのレオパードFLを装着して雪渓を歩いてみました。アプローチシューズでも全く問題なく快適でしたが、雨だと濡れてしまう・・・
9月のバガブーの気温を考えると冬靴の方がいいのか・・・
まだ考える余地がありそうです。




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