光岳に入る の続きです。
■3日目 聖平へ ライチョウに感動
1:30起床。疲れていたので予定より30分遅くしました。蕁麻疹は治っているようでした。昨日かゆいと思ったところは全て虫刺されでした。牛首に泊まった時にやられたのでしょう、肩から腕、首、太腿や膝周辺にいくつもノミやダニに刺されたような跡が無数にありました。また、静脈瘤手術後1ヶ月程度、着用するように指示されていた弾性ソックスのゴム部分が水膨れになってしまっていたので、この日から履くのをやめました。(クリニックでは1ヶ月程度履くように言われますが、手術のガイドラインでは術後1、2週間が目安なので、自己判断でやめました)
2:30、すっかり疲れは取れたようで、元気に出発しました。易老岳へ向かう降りの途中で、昨日イザルガにいたお兄さんに抜かれました。天気が崩れるからでしょうか、今日中に聖平から降りるそうです。今日も月が綺麗です。易老岳に着く頃にはすっかり明るくなり、7:00に予定通り仁田岳への分岐がある希望峰に到着。ここにデポして仁田岳へ空身で往復しました。ハイマツとシャクナゲの藪で、下半身がずぶ濡れになってしまいました。靴もグッショリです。仁田岳にもライチョウがいるはずでなのですが、見かけませんでした。分岐に戻り、茶臼岳へ向かいます。途中、1組とすれ違いました。
茶臼岳で靴を脱いで、少し足を乾かして、上河内岳へ向かいました。日差しが強かったです。
男性ひとりとすれ違います。茶臼小屋への分岐にデポして茶臼に登ってきたようです。イザルガのお兄さんもそうでしたが、無防備にデポしていました。私はなるべく人目につかないよう隠すようにデポするのですが(もちろん貴重品類はもっていきます)、みなさんあまり気にしないのでしょうか。人少ない南部のノンビリした雰囲気を感じました。
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茶臼岳 |
地図に「特に美しい尾根」と記載されている通り、アルプスっぽい美しい景色でした。
上河内岳が迫ってきました。途中でまた足を乾かしつつ行くと、親子1組とすれ違いました
。花がたくさん咲いていました。
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茶臼岳から上河内岳へ向かう |
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上河内岳 |
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上河内岳が見えてきた |
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濡れた足を乾かす |
上河内岳の肩につく頃、日差しが痛いくらいでした。また靴と足を乾かして、空身で上河内岳の頂上へ。今回初めて、富士山が見えました。降りる頃にはすっかり足が乾いていました。
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ホシガラス |
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だんだん晴れてきた |
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岩の門 |
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花の大きさと葉っぱが不釣り合い |
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いろんな花がある |
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聖岳かな? |
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富士山見えました |
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上河内岳頂上 |
上河内岳と南岳の間のコルは、風も通らず非常に暑い。こんなに暑かったらライチョウは死んじゃうんじゃないかと心配になっていた時でした。ふと、前方に生き物の気配がしました。顔を上げると、ライチョウと目が合いました。ウォウ、オゥ、と小さな声で鳴いています。凛とした美しい雌です。北アルプスで見たライチョウよりもひと回り小柄でした。目の上の赤い肉冠が目立っていて、こちらを少し警戒しているようでした。怖がらせないよう、直立不動で見つめました。すると、雛が二羽、ちょこちょこと現れました。感動して涙が出ました。南アルプスの南部のライチョウは数も少なく、植生の変化から生息が難しくなってきていると聞きました。識別用の足環はしていませんでした。過去の生息調査以降も増えているのでしょう。こんな暑さにも負けずに、頑張って生きて欲しいと思います。
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ライチョウの親子 |
ライチョウがハイマツ群の中に去っていくまで、彼らを撮影し観察しました。その直後、1人の男性とすれ違い、ライチョウがいたことを興奮気味に話してしまいました。ライチョウに出会ったことでとても元気になりましたが、足指が若干痛みだし、聖平までの道のりは長く感じました。
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途中に崩壊地の縁もアリ |
聖平小屋の分岐のところで、ちょうど向こうから男性1人がやってきたところでした。ほぼ同時に小屋に着きました。彼もテントでした。到着は13:30くらいで、予定より時間がかかってしまいましたが、ライチョウとの素敵なひと時を過ごせたので良かったと思います。その後続々と人が到着し、テン場は私含めて3張、小屋泊も何組かいる様子でした。台風が近づいているので、明日の天気が気になるところです。茶臼ですれ違った人は、明日午前中は何とかもつかな、と言っていましたが、どうでしょうか。明日はなるべく早くに出発しようと決めました。が、なかなか眠れず、1時間おきに目を覚ましてはまたウトウトする、の繰り返しで0:30になってしまいました。
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聖平 |
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夕飯は金ごまいわし |
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夕暮れは怪しい色に染まった
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疲れのせいか気付くとテント内が汚部屋と化していました。
きちんと整理整頓!
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Before |
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After |
■4日目 聖岳を経て百間洞へ 雨の中の兎岳、ザック内はコーヒーまみれ
0:30起床、1:30出発のはずが、なぜか時間がかかり1:50出発になってしまいました。
昨日同時到着の男性はすでに出発してしまったようです。聖に向かう登りの途中で、対岸に上河内岳へ登るヘッデンの明かりが見えました。今日光岳まで行き、明日池口岳登山口へ降りると言っていました。私と逆のコースです。易老度の道が崩れてから、池口岳登山口から光岳の道は人がたくさん来るようになったと、運転手さんが言っていました。エアリアで波線コースの池口岳ー光岳間は道が良くなったのはそのせいかもしれません。
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朝食、スライス餅入りです! 右はお汁粉。 |
ヘッデン電池は3日目ともなると残量が少なくなり、省エネモードで暗くなってしまいました。そのせいか、聖へのザレた急登が少し怖いと感じました。パラパラと雨が降ってきて、本降りになったら嫌だなと思いつつ登りましたが、頂上につく頃には日差しが出てきました。
後から登ってくる人もいなくて、独りきりの山頂を堪能しました。デポして奥聖まで往復しました。
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もうすぐ頂上 |
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雲模様が綺麗 |
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奥聖 |
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今日は雨ですね |
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輝く聖岳 |
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天使の梯子 |
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聖岳 |
兎岳に向けて降っていくと、雨が降り出しました。コルまでの道が長く感じました。その後、兎岳の登りは、レインウェアのせいで蒸し暑くて非常にしんどい。雨が強かったら兎岳の避難小屋で休もうと思い頑張って登りました。今回、ここで初めて息切れがしました。だいぶ消耗してきているようです。
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赤いチャートの岩 |
避難小屋は、本当に緊急用の小屋のようで、遠目に見ただけで入るのをやめました。雨も一旦小ぶりになっていました。ここから頂上までもう少しです。
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兎岳の避難小屋
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兎岳頂上 |
さて、兎岳を越えたら、小兎、中盛丸山、大沢岳とアップダウンが続きます。小兎からの下りで非常に足が痛くなり、足を止めました。
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下り |
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あの山また登って下りるのか・・・ |
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疲れてきました |
ザックから行動食と水を取り出している時、何だか嫌な感じがしました。大きい食料袋を取り出してみると、ナント、インスタントコーヒーを入れていた容器(粉チーズが入ってたやつ)の蓋が開いて、中身がザックにこぼれているではありませんか!
幸い、中身は2/3以上残っていましたが、食料袋からも漏れてザックの底の方まで散らばっていました。プラティパスから発生した水滴と混じり合って、いろいろな物がコーヒーまみれです。チキンラーメンのピヨちゃんもひどいことになっていました。
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汚くなったピヨちゃん・・・ |
とりあえず、応急処置をして、後で洗うことにして先へ進みました。
中盛丸山を下ると、百間洞への分岐です。ここは電波が届くので天気予報チェックや会に中間報告等の連絡を入れて、百間洞へ向かいました。明日は台風の影響で雨が続くかもしれません。雨は強くなってきていました。
自然と百間洞へ向かってしまいましたが、テント設営してから気付きました。本当は大沢岳にも登るはずだったのです。疲れやコーヒーショックのせいで、早くテン場に行きたい気持ちが強かったのでしょう。巻いてしまいました。
百間洞では小沢のそばにテントを張りました。誰も来ませんでした。この日は誰1人会いませんでした。疲れのせいか、ひどく眠くて1時間ほど昼寝してしまいました。雨は強くなったり止んだりを繰り返し、夕方には青空が見えていました。夜は寒くて目が覚めましたが、服を着込んで暖かくしたらぐっすり眠れました。外をちらり見たら、月がぼんやり出ていました。
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なんとか綺麗にしたピヨちゃん
| 疲れた時はスイーツ |
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■5日目 赤石岳はガスの中、ビールを貰うか迷い、荒川小屋でまったりする
3:30に起床のつもりが、4:30になっていました。
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朝食はオートミール in スープ |
昨日、かなり消耗していたので、予定では赤石岳と荒川岳を登って高山裏避難小屋までいく長い工程でしたが、荒川小屋泊に変更することに決めていました。
外を見ると、ガスに包まれているもののそんなに悪そうではありません。
5:30に出発しました。昨日ぐっしょり濡れたままの靴で濡れ鼠気分で出発です。雨は降ったり止んだり。テン場から150mほど登高すると携帯の電波が入りました。下界の天気予報は悪いままのようです。最悪、今日はずっと濡れたままになることを覚悟しました。
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テン場見下ろす(森で見えない)
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昨日、あんなに疲れていたのに、赤石岳までは全く疲れずに登り、8:30には赤石岳避難小屋に着いていました。少し晴れたりしないかなと薄い期待を胸に、ベンチでゆっくりコーヒーを飲みました。すると、小屋の横に、水で満たした籠の中いっぱいに缶ビールが入っているのに気づきました。昨日、光岳に向かったお兄さんが、聖平で冷やしていた缶ビールと同じ銘柄です。その時はよく大きい缶いくつも持ってくるなあ、と感心して見ていたのですが、ここから失敬したものかもしれません。
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百間平。ライチョウ出てきそう。 |
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ガスガスです。 |
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うっすら太陽、晴れを期待してしまう
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避難小屋が見えてきました |
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小屋付近に咲いていた花 |
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咲いていた花その2 |
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あれ、ビール? |
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賞味期限は去年の4月 |
よく見ると、賞味期限切れ。製造は一昨年。小屋が閉鎖され、本来販売するはずだったビールが大量に余ってしまったのでしょう。わざわざ、外に出して目につくところに置いていることから、ゴミとして処分するくらいなら、持って行きたい人は持っていってくれ!ということだと思いました。私はここまで、食料計画通り、節約して歩いてきたので、ハラヘリです。ビール、腹の足しになるかな、と思って、1本いただこうかしら、と迷いました。しかし、あまり好きな銘柄じゃないし、賞味期限切れで、いつから外に放置されているかわからないものを飲んだらお腹を壊すんじゃないかと心配して、やめました。私は確かにすぐにハラヘリになりますが、またすぐにハライタにもなりやすいのです。
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山頂を見る |
結局、ガスは晴れそうにもなかったので、赤石岳山頂に行き、小赤石岳に向かって降りることにしました。すると熊鈴の音が聞こえてきました。久しぶりに登山者に出会いました。赤石岳を登ったらまた戻って荒川小屋に泊まるかもしれないそうです。休みが短いので、本当はもっと先へ行きたいのだけれど、やはり天気を心配していて、荒川岳は明日のほうがいいだろうと言っていました。この方、赤石岳往復のはずなのに、分岐に荷物デポせず全荷で登っていました。そういうのいいなあとちょっと憧れました。
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山頂 |
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ちょこっとだけ雪がある |
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小赤石岳 |
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あれ、ちょっと晴れてきた? |
小赤石を過ぎ、大聖寺平へ向かって降りていると晴れてきました。束の間の日差しかもしれないと思い急いで靴を脱いで足を乾かしました。ある程度乾かして、また降りて、大聖寺平でカンカン照りになったのでここで荷物広げていろいろ乾かすことにしました。とても気持ちの良い場所でした。日差しを味わっていると、後ろから熊鈴の音がします。さっきのオジサンが降りてきました。彼も同じところで休憩したので、いろいろ話しました。久しぶりに人と会ったせいか、話すのが楽しいと感じました。彼の方が先に荒川小屋へ行きました。いつまた雨になるかわからないから、私はここで完全に乾かしてからいくつもりでゆっくりしました。小屋までは後30分くらいの場所ですが。
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晴れてきました |
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全部乾かしちゃおう |
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気持ちの良いトラバース路 |
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きれい |
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アルプスっぽい |
さて、そろそろ、と荒川小屋に行きました。途中でゆっくりしたにもかかわらず、11:30には到着しました。ロケーションもよく、トイレも綺麗、水場も近く水量もあって便利でした。テン場も広々していました。テントを張ってもまだまだ晴れは続きそうだったので、水場で体を洗い、コーヒーまみれのあれこれをきれいに洗いました。日差しはどんどん強くなって、テントに入るには暑過ぎました。外の木陰でまったりしました。荒川岳も姿を表して、天気はすっかりよくなってしまいました。体もすごく元気で、今日、荒川岳に登っておいた方が良かったかな、とも思いましたが、ここでゆっくりして良かったと思います。なぜなら、この後水浴びをしたり、洗濯物を乾かす機会はなかったからです。
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すごく良いテン場 |
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荒川岳も見えてきた |
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今日は予備食です! |
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靴、乾け! |
時間があったので、お楽しみ、スイーツ作りです。
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冷たい湧水のミルクムース
<材料>
1、寒天ミルクムースの素1袋(冨沢商店)
2、スキムミルク大さじ6
3、冷たい湧水コップ1杯
<作り方>
1、ムースの素とスキムミルクをジップロック丸型容器に入れてよく混ぜる
2、冷たい湧水を1に注ぐ
3、よーく混ぜる(できればドレッシング用のミニ泡立て器があると良い)
4、蓋をして、沢水に浸けておく(水場下流にすること)
5、トイレに行ったり、洗い物をしたりして、少し待ったら出来上がり!
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時間と体力が余っていて、無駄に写真を撮って遊びました。
15:00くらいに荒川岳から降りてくる登山者の姿がよく見えました。彼らが到着してから、先についていたオジサンと話している声が聞こえました。どうやら私のことみたいで「知らないオジサンと小屋に2人きりは気まずいだろうから・・・」と言ってました。確かに一緒に休憩していた時、小屋はすごくきれいでいいよ!と言われたのですが、私はテントの方が虫に刺されなくていいと言ったからでしょう。テントは大変だろうにねえ、みたいに不思議がっていました。確かに、誰が入ってくるかわからない小屋より、独りきりのテントの方が気楽ではあります。でも、オジサンでもお兄さんでもお姉さんでもそれは変わりありませんよ。
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無駄に写真を撮ってしまった |
■6日目 荒川三山〜高山裏避難小屋 雷にビビった後に雲海の絶景
夜中、目が覚めて空を見るとどんよりしていました。
2:00起床、3:00出発のつもりが、アクシデントあって遅くなってしまいました。
まず、フライのジッパーをあげようとしたら、噛んでしまい、10分くらい格闘しました。荒川岳がよく見えるよう、レイアウトをいつもと反対にしていたのですが、反対の前室フライを固定していると噛みやすい模様。頭びしょびしょになって何とか開けることができました。
熊鈴の音がして、昨日のオジサンがすでに出発した模様です。
気を取り直して準備して3:15分、最後に忘れ物がないかチェックしていたところ、コンタクトレンズ装着を忘れていることに気づきました。私は片目はある程度見えるのでテントの外に出て遠くを見るまで気づかなかったのです。コンタクトはザックの奥底だったので、荷物出して再パッキング、慌てるとコンタクトがうまくつけられず、出発は3:30になってしまいました
登っていくと、遠くで雷が光っているのが見えました。くらい雲が赤石岳にかかり、だんだんこちらに近づいています。雨もパラパラ降ってきました。上の稜線に出て、とりあえず中岳の避難小屋を目指しました。雷雨を心配して、悪沢岳にいくにしても、荷物は避難小屋に置いていこうと思いました。
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朝からくらい雲 |
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とりあえず中岳 |
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中岳避難小屋 |
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中でコーヒータイム |
小屋は靴のまま入ってテーブルでコーヒーを飲める構造でした。窓もあって、外の様子もよく見えます。5:15頃、明るくなってきたので外に出てみると、ナント、晴れてきました。
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嬉しい! |
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悪沢岳 |
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どんどん明るくなります |
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頂上! |
嬉しくなって、スキップするように悪沢岳を目指しました。途中また雲がかかって、心配になりましたが、頂上に着く頃は遠くまで見渡せる状態でした。頂上で、鈴の音が聞こえました。あのオジサンは千枚岳の方へ降っていったばかりのようです。晴れてよかったですね、と心の中で呟きました。
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ウーン、晴れてよかったですね! |
雲海がすごくきれいで、たくさん写真を取りました。同じような写真が、載せたやつ以外にもたくさんあります。刻々と変わっていく光の感じが、きれい過ぎて、撮っても撮ってもさっきよりきれいな気がして・・・
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すごい雲! |
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きれい |
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もう一枚! |
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パノラマでもう1枚! |
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あ、まだ撮りたい。 |
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さっきよりきれいになった気がする! |
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晴れた頂上も1枚パシャリ。 |
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縦でも撮っておこう・・・ |
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中岳もね。 |
ルンルンで中岳に戻りました。避難小屋の直前で、お兄さんに会いました。昨日荒川小屋に泊まった方のようです。「こんなに静かないいシーズンはありませんよ!」と言っていました。小屋が営業していた時は、きっとワイワイ賑わっていたんでしょう。確かに、ここまでイザルガ以外の山頂全て、他に誰もいなかったのです。こんな静かな南アルプスはいつまで続くのでしょうか。
荷物を回収して、前岳へ向かいました。
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前岳です |
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ブロッケン!? |
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花きれい |
前岳より先は崩壊地の縁で道が悪い模様・・・
実際、なかなかでした。いつ崩れてもおかしくない。大雨の中歩きたくない感じでした。
降りるカールの斜面を勘違いして、危うく道迷いになるところでしたが、2日目の教訓から、踏み跡薄くなった時点で「これは違う」とすぐ気づき大きなロスにはなりませんでした。
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目の前のところ、道です。 |
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端っこが道です。 |
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振り返るとこんな感じだった! |
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崩れたら嫌だけど、綺麗です。 |
崩かけなのに、とても綺麗だと思ってしまいます。絶対、昔はあの岩のあたりはだれか登ったんだろうな、と眺めて思いました。
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間違って降りそうになったところ |
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脆い崖だけど、誰か登ったはず |
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ここから下り |
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足の痛くなる斜面でした |
カールの斜面を延々降ったら、足が痛くなり始めました。どうも降りでは小指側の足指に負担が大きくなるようです。
樹林帯のトラバースで屈強そうな男性1人とすれ違いました。途中、地図で「細い」とされていた水場があったのでたっぷり組んでおきました。高山裏の水場は往復30分とあったので、途中で汲んだ方がいいとの判断でした。実際、高山裏避難小屋に着いてから水場に行ってみようとしましたが、降りていく枯れ沢がゴミだらけで汚く、倒木も多くて歩きにくかったので、10分降ったところで引き返してしまいました。
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鳥たくさんで虫すくない |
10:30に到着しました。テン場は森の中でした。虫が少なくて、鳥がたくさんきて良いところでした。午後早い時間から、激しい雨になりました。
しばらくすると避難小屋に気合の入った集団が到着した模様です。「着いたぞーぉ!お疲れ様ぁー!!」とみんなでワーッとなっていました。小屋とテントを張ったところは離れていたので、この日は彼らに会うことはなく終わりました。
夕方は雨が上がって、夕日がきれいでした。
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夕陽がきれい |
鳥の羽音が間近でするので、テントの換気口から覗くと、すぐ近くでウソのつがいが何かを一生懸命に啄んでいるのが見えました。
この日はとにかくハラヘリでした。出発直後にもうお腹がなっていて、悪沢岳の帰りにもぐうぐう言っていて、何か食べても30分立たずに空腹感が襲ってきました。そこで、今日の夕食は豪華コンビーフ丼です。
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コンビーフ丼。ワサビと醤油もかけました。 |
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追いマヨしました |
トランゴのペンダントナイフを使おうと思ったら錆び付いて開かなくなってしまっていました、アルファ米の袋の切れ端を使って開くことができました。アルファ米の袋は何かと役に立ちます。
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ポッチのところが錆びてた |
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応急処置。これですぐ開く。 |
翌々日は熊の平まで、長い行程になるので、明日は小河内岳でゆっくりレストする予定です。
■7日目 小河内岳でまったりライチョウの観察
ゆっくり4:30起床。鳥の声が爽やかです。天気は良いですが雲がすでにモクモク、また昼過ぎには雨でしょう。テントを撤収していると、気合の入った集団が出発するところでした。円陣組んで「オオーッ!!」とやっているようでした。こちら側に歩いてきて、私を見て少し驚いたようでした。この集団(5人でした)には、85歳で百名山を完登を目指す方がいて、あと2座(荒川岳と赤石岳)で終わりなんだそうです。なるほど、だからあんなにも気合が入っていたわけですね。
私が南から来たことを知ると、荒川小屋の水場のことを聞かれました。やはり昨日、ここの水場に辿り着けず苦労した模様で、次の水場のことが心配になっていたみたいです。私が北岳まで行くこと、食料切り詰めてハラヘリなことを話したら、飴を頂いてしまいました。ありがたくいただきました。
5:30出発、明るい朝の日差しの中に歩き始めるのは、今回初めてです。昨日の雨にもかかわらずテントはすっかり乾いていて、荷物も軽く感じました。道中、中央アルプスや赤石岳、大沢岳や兎岳がよく見えました。
また、ハイマツの実がかじられて落ちているのがたくさんありました。リス、なわけないよなあと思っていたら、犯人はホシガラスでした。私が近くにいるのに逃げないで一心不乱にマツボックリを突いていました。
樹林帯を抜けて、森林限界に来ると、ハイマツとシャクナゲの藪になってまた全身びっしょりになってしまいました。雲もさらにモクモクして、今すぐに雨になりそうな雰囲気です。小河内の頂上まで一気に登るとまだ9:30でした。
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小河内岳の頂上 |
ここで電波が入ったので、下山が1日伸びたこと(荒川小屋で1泊したぶん)を連絡しました。スマホの電池も残量が少なくて、最低限の撮影だけの使用に留めていました。
頂上から小屋はすぐそこです。小屋に向かう途中、また出会いました。ライチョウのメスです。写真を2枚撮ったら、ハイマツの中に消えてしまいました。1羽だけのようでした。
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お写真1枚いいですか? |
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もう少し、近くでもう一枚いいですか? |
ヤマレコだとテント場のマークがついていたので、もしかしてテントが張れるのかな、と期待していたのですが、テン場はありませんでした。避難小屋は誰もいなくて、雨戸もしまっていたので、まず窓を開けて、自分のスペースを端っこに確保しました。とても綺麗でいい小屋です。しかし、一定間隔で火災報知器か何かのアラームがなって落ち着きませんでした。換気をしてみても鳴り止まず。
小屋のノートに書き込んでいると、オジサンが登場。ちょっと休憩に寄っただけだと言って外に出て行ってしまいました。私も外に出て、話してみました。広河原から入って、池口岳から平岡に降りるそうで、私と逆のコースです。12泊でゆっくり刻んでると言ってました。南アルプスはよく来ているらしいです。
オジサンが去ったので、濡れた装備を干しつつティータイムにしました。楽しみにしていた紅白の落雁と鮭皮チップスを食べました。
アラームが気になるので小屋内をよく調べてみると、火災報知器ではなくアンテナが「電波異常」を知らせている音だったようです。原因がわかってほっとしたものの、うるさいのは変わりありません。
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まるで別荘のようです |
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落雁は大好物! |
外に出て、ライチョウを探すことにしました。来るときにいた場所に座ってじっと耳を澄ますと、ライチョウの声が聞こえました。ハイマツの間にポッカリできた空き地にいるようです。別の角度から見ようと山頂側に移動しました。この時期1羽でいるメスは、相手が見つからなかったのか、雛が死んでしまったのか、ひとり寂しく餌をつつく毎日なのかなあとしんみり思っていました。しかし、移動してみると、雛が2羽いるのが見えました。この間、上河内岳でみた雛よりも大きく、模様が成鳥に近づいていました。親は毛繕いをしていて、雛は近くを走り回っています。やがて雛も毛繕いを始めました。砂浴びは見れなかったものの、親子で毛繕いをしている姿には癒されました。
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小屋とライチョウ広場 |
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雛もいました |
昼過ぎ、小屋に戻って昼食にしました。食事の後、小屋にあった本(山麓の生活誌)を読んで過ごしていたら、外は土砂降りになりました。少し横になって寝ていたら晴れてきたので、トイレのため外に出ると、すぐ近くにライチョウ親子が来ていました。また毛繕いをしています。
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昼(夕飯?)はツナご飯! |
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あれ、ライチョウいる |
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膨らんだライチョウ |
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毛繕い中 |
小屋に戻って少し寝ているとまた雨になりました。ふと窓の外を見ると、ライチョウ親子はトイレの前を通りすぎて去っていくところでした。
明日、というか今日の夜遅くに出発してしまおうと思っていたので、夕方からずっと横になって寝ようとしていました。アラームの音が気になって、あまり眠れず、うつらうつらを繰り返していました。18:30を過ぎて、今日はもう誰もこないだろうと思っていたら、ガラガラっと扉を開ける音がして、誰かが入ってきたようです。雨の中、ずいぶん遅くに来るもんだなあ、と思い、寝袋の中で誰かが入ってくるのを待っていましたが、内扉はいつまでも開きませんでした。私が寝ているのをみて遠慮して、内扉と外扉の間の土間のような狭いスペースでちょっと休憩しているのかもしれません。しばらく何かを食べたり、ジッパーを開けるような音がしていましたが、出て行った気配はありません。まさか、その狭いスペースで仮眠するのでしょうか。ドア付近の存在を気にしつつ微睡を繰り返して、21:30になりました。起きて、ご飯を食べて、荷物をまとめたら意を決して、内扉のガラス戸に近づきました。誰かが寝てるかもしれない・・・と。誰もいませんでした。いつの間にか出て行ってしまったようです。雨の中、暗くなりかけた時間にまだまだ歩き続ける人もいるんだなと、色々なスタイルの山行があるものだなと思いました。
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