昨夏、北アルプス縦走を中の湯で終えたとき、冬の釜トンネルを歩きたいな、と思いました。
それで、この年末に、釜トンネルを抜けて横尾まで行き、蝶ヶ岳に登る計画を立てました。
ちょっと早めに行けば、ノートレースでラッセルを楽しめるかも、と期待していました。
松本バスターミナル発・高山行きの朝イチのバスに乗るため、松本駅前のホテルで前泊しました。ついでに、学生時代ボランティアで参加した「かえるまつり」が行われる「なわて通り」と、松本城へ行きました。
松本城から、常念岳ごしに槍ヶ岳がみえるのを初めて知りました。ちょこんと槍の穂先…
翌朝、ホテル朝食バイキングでしっかり栄養とって出発しました。睡眠もバッチリ。元気いっぱいです。
中の湯に9:15到着。他に3人のハイキングか登山の人が降りました。
トンネル入口には登山相談所が設けてあり、県警の人が入山者全員に声掛けてました。氏名と行き先と下山日を聞かれました。
登山者向けの仮設トイレを借りて、スッキリしてから、念願の冬の釜トンネルにイン!
釜トンネルにまつわる怪談を色々読んできましたが、現在の冬の状況だと、全く怖い感じがしなくて残念でした。日帰りでハイキングに行くツアーの人たちとか、大勢歩いてます。
釜トンネルを抜けるとまたすぐトンネルでした。
上高地トンネルです。私の古いエアリアには載ってません。
白く輝く山嶺が見えて、テンションかあがります。
ただ、空模様はこれから崩れそうな感じです。
大正池から穂高の山々がよく見えました。雪煙が上がっています。
焼岳もバッチリです。
バス停から1時間半くらいで上高地バスターミナルに到着しました。トイレ掃除してる方が2名いました。手にはテムレス。毎日来てるのでしょうか?
ありがたく使わせてもらいました。
そして、河童橋。怪しい雲が出現!
ベンチのとこで、ハイカーの若い男性が嬉しそうにお昼食べてました。「初めてきたんですけど、最高の天気で、よかったです!」とニコニコでした。
私は明神館まで足を伸ばしてから休憩しました。
明神岳、風強そうです。
昨日、松本駅前のデリシアで買っておいた牛乳パン。いわゆる長野のマリトッツォかもしれません。美味しかったです。
この日はだいぶ温かく、上着なしで、軍手で、日陰でも汗かいてしまいました。
徳沢園でもトイレ拝借。ここでも冬トイレ、紙が常備されててビックリです。
ただ、ロールがでかすぎでは?盗難防止にはいいかもしれません。
徳沢から先のトレースはちょっと薄めでした。
釜トンネル〜上高地が新東名高速道路並みだとすると、上高地〜徳沢は中央道、徳沢〜横尾は青梅街道といったとこでしょうか。
午後、川沿いの陽当りいい場所は雪が重くて大変でした。
15:30に横尾に到着しました。横尾には、私のあと槍に向かう4人パーティが一組きただけでした。
夜は雪になりました。
お楽しみの雷鳥を食べました。
FM長野を少し聞いて、フクロウの鳴き声と、雪のチトチト降る音と、避難小屋前に掛け流してある湧水の音を聞いて眠りにつきました。
夜中に一度雪かきしました。
朝、明るくなっても雪は降り続いていました。
携帯電波は全く入らないので、天気予報は昨日の朝チェックしただけ、あとは夜ラジオできいた平地の情報だけが頼りでした。
ウダウダしてたら七時になってしまいましたが、とりあえず出発しました。
槍パーティも、ほぼ同じ時間に出ていきました。お互いの健闘を祈り合いました。彼らは橋を渡って行きましたが、どういうルートか聞けばよかったなあと思いました。
出発時のテントです。
昨日の時点で完全にノートレースだったので、さらに雪が積もってモフモフです。
ですが、テープもあるし、なんとなく道っぽい感じがするので、迷うことなく進みました。
それでも、槍見台まで2時間かかってしまいました。夏のコースタイムでは50分のところです。
進みの遅さに、ショックをうけました。
ここから槍ヶ岳が見えるのでしょうが、この日はこんな感じでした。
急登が続く中、気温は高くて半袖になりたいところですが、しめった雪が降り続くので上着を着ていました。汗びっしょりになりそうなので、時々上着と帽子を脱いで換気しながら行きました。いっそのこと裸でラッセルしたほうが良いのでは…?と考えましたが、実践する勇気はありませんでした。
思うように標高を稼げず、開始2時間で登頂諦めモードでした。今日は明日のためのトレースづくりと思って、とりあえず6時間は頑張ろうと決めました。
そう思うと気が楽になり、カワイイきのこを撮ったり楽しみながら登りました。
標高2200を越えたあたりから、雪質が変わってスピードアップしました!もしかしたら、今日いけちゃうかも?!と思えてきて俄然やる気がアップしました。
三分の一くらいの時間で降りれちゃうだろうし、ヘッデン下山でも構わないから…と稜線にでる時間を計算し始めました。
稜線に14時なら、山頂まで行けそう。
最悪、稜線に出るだけなら15時までOK。
休憩もあまりせず、ガムシャラに雪を掻き分けて…
時々薄日が差すようなこともあって、天気はまだ大丈夫そうでした。もうあと100m…のあたり、だんだん木が小ぶりになってきたところで、雪を踏み抜いて腰までハマってしまいました。埋まって抜けられなくなったらマズイぞ、と慎重になりました。
そのあと、あと60mアップで稜線に出るというあたりまできましたが、道が分からなくなりました。
この先、木がまばらでさっきハマったみたいな箇所が多々あるかもしれません…
先へ進めず、ウロウロしていると、ウエアが凍って寒いことに気づきました。汗をかかないよう気をつけていたつもりでしたが、出だしの気温が高かったせいか、体温が高かったせいか、雪が溶けてそれなりに濡れてしまっていたようです。
木々の合間から稜線が見えて、名残り惜しくも思いましたが、自分のお腹に聞いてみたら、「温かいチキンラーメンが食べたい!2杯一気に食べたい!」と騒ぎ出したので、サッサと降りることにしました。
蝶槍方面の稜線が見えました。
降りだしたら、雪が激しくなってきました。
草木がモコモコです。
尾根状の風が抜けるところは、トレースもう消えてました。
新雪まぶされてキレイなトレースです。
7時間、ラッセル頑張って登った道も、下りはたったの1時間40分でした。4分の1以下でした。
山荘の屋根の雪が滑り落ちそうです。
私のテントもだいぶ雪に埋もれてました。
雪かきして、トイレして、水を汲んでいたら、避難小屋から1人顔を出してきました。と思ったら、続々と人がやって来て、大賑わい。でも、外にテントを張る人はいませんでした。テントのほうが暖かいのに…(翌朝、寒くなかったですか、と聞かれました)
夜はまたフクロウの鳴き声と雪のチトチト降る音を聞いて寝ました。ちなみに、チキンラーメンは一杯でお腹いっぱいになってしまいました。
朝、マイナス10℃くらいに冷えました。
どうせ凍らないだろうとタカをくくって放置していたプラテパスの水が危うくカチカチに凍るところでした(お湯を足してセーフ!)
外は、すっかりいい天気!
燃えるようなモルゲンロートです。
リベンジするか、ちょっとだけ迷いましたが、
昨日、無心でラッセルした疲れと、濡れて冷えてしまったのと、二子山で年明けにクライミングしたいのと、いろいろ思い浮かんで、予備日は使わず下山することにしました。
道は高速道路になっていました。
天気は、最初良かったのですが…
小梨平は風強く、上高地も吹雪きました。
夏はチケット売り場であろうシャッター前で風をしのいで休憩しました。13時のバスは急がないと間に合いそうにないのでゆっくり行くことにしました。
少し休憩しただけで、冷えてブルブルでした。
大正池をすぎたら…
上高地トンネルまであっという間でした。
上高地トンネル手前では、陽射しがあり、天気良くなったように思えましたが、釜トンネル内は風がビュービュー抜けてさむかったです。釜トンネル抜けたら、また吹雪いていて、バス待ち中の湯の売店に逃げ込みました。
売店は大繁盛でした。
コーヒーをいただいて、あったまりました。
予定よりバスの時間が遅かったので、また松本駅前で一泊してから帰ることにしました。中の湯での雪が嘘みたいに、下界はいい天気でした。
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