常念岳東尾根

年末に上高地から蝶ヶ岳へ行ったとき、松本駅前で前後泊したのですが、その時に松本城から見えた白く輝く常念岳があまりにも立派で、(行ってみたい…)と思ったのです。

(これは、今回、安曇野アルプス公園近くからみた常念岳)

積雪期に、どういうルートがいいのか調べて見ると、常念岳東尾根というアプローチの非常にいい積雪期限定のルートがあるではないですか。

すぐに、プランを思いつきました。
新宿発の夜行の高速バスで、大糸線の穂高駅前でおりて、登山口まで歩く!
かねてより、3月まで期間限定の白馬〜新宿線を使った山行ができそうだ、と思っていたのです。

せっかくのお楽しみ山行なので、とてもゆったり3日間で計画しました。(車で日帰りの人が多いようです)
本当は、もっと寒い時期にいきたかったのですが、諸事情により2月末/3月頭になってしまいました。

仕事後、いったん帰宅してから新宿バスタにむかいました。月曜日の夜だから空いているだろう、と思いきや、バスタ待合室は大盛況。外国人観光客や学生が多いようでした。

白馬線は満席。登山の格好の人もチラホラ。デカザックは私だけでした。日帰り装備だと、冬靴も履いたままバスに乗るようです。私は車道歩きが長いこともあって、アプローチシューズを履いていきました。冬靴はザックの中です。

バスではあまり眠れないかな~と思っていたけど、今回はぐっすりよく眠れました。あっという間に安曇野です。
安曇野穂高の停留所で降りたのは私だけでした。


5:15に穂高駅前のバス停着です。プリン屋さんの明かりが早々とついていました。

うっすら白んできた空の下、登山口目指してあるきはじめました。

途中休憩した、コンビニの駐車場からも


田畑の中を通る道路からも、
常念岳がよくみえます。

途中で日の出となり、光り輝く常念岳!


いつものことですが、ワクワクすると、腹が痛くなります。途中の公衆トイレは全部冬季閉鎖中…
どうしよう。

ほりで〜ゆ〜四季の里のすぐ先に、林道入口があります。ゲートが閉まっていて、手前に登山者の車が停めてありました。火曜なのに、7台もありました。
そして、簡易トイレあり!助かりました。

トイレからでたら、なんとカモシカが待っていました。しばし見つめ合った後、沢沿いの崖を降りていってしまいました。

林道をすすみました。ダムより先からは凍結していました。

8時すぎに、東尾根の取り付きに到着。
ここで冬靴にはきかえました。
鉄塔への巡視路を登って尾根にあがり、モクモクと尾根を歩きました。この日は、各地で20度近くまで気温があがった日で、山も、とても暑かったです。とくに、1955峰への登りは落葉樹の林で陽射しがキツかった。

でも、尾根の登り途中でもずっと常念岳が見えたのがよかったです。

暑かったのでゆっくりのぼりました。
途中休憩で、最近ハマっている酒粕入りのパウンドケーキをモグモグ。

続々と降りてくる登山者とすれ違いました。なるべくアイゼンつけないように頑張っていたのですが、下山者はみんなアイゼンつけていたので(そろそろつけたほうが楽かな…?)と着けたとたん、急登は終わってなだらかな常緑樹の涼しい森の中になってしまいました。

テントを張ったらしき跡が、割りとすぐにありましたが、「森林限界の手前に、とても快適なテン場がある」とヤマレコかなにかに記述があったと記憶していたので、ここしかない!と思える場所まで歩きました。
そしてありました。天然の壕のような場所。


尾根取り付きから4時間くらいでした。
テント設営していると、もう一組やって来て、隣にテントを張りました。
既に整地された跡があったので、楽チンでしたが、ペグ代わりの木の枝を刺すのにピッケルつかったら、先っぽの保護カバーがどこかに行ってしまいました。おそらく雪の中…いつか失くすだろうと思っていましたが、ついにその時が来てしまいました。

ゆっくりお昼たべて休んだ後、2時に前常念岳にむけて出発しました。明日の偵察です。もし、行けそうなら前常念岳まで、のつもりでした。

森林限界こえると、前常念岳はすぐそこにあるように感じます。
最高の景色です。

まだ時間はあったのですが、岩場がでてくる手前で引き返すことにしました。

ちょうど、前常念岳の頂と太陽がかさなりました。

疲れていたし、常念岳から雪煙があがっていたので、なんとなく、ここで引き換えしたほうがいいと思ったのです。勘はあたって、その後風がとても強くなったようでした。テントにいて風の音がすごかったし、ラジオでも松本がすごい風だと言っていたのです。

眠いはずなのになかなか眠れず、ラジオを聞いていました。聞きながらいつの間にか眠っていました。

2日目の夜から天気崩れそうなので、翌日降りてしまうことにしました。
当初の計画では、2日目登頂してテン泊地にもどり、イグルーをつくって遊ぼうと思っていたのです。今シーズンは、イグルー講習会に参加したり、イグルー作りの練習したり、イグルー熱が高かったのですが、前回は雨予報と天気に恵まれず満足できていませんでした。
今回も、気温高く雨の可能性が高いです。それに、テント張った場所にイグルーつくったら迷惑そうですし、すぐに藪が出てきそうです。森林限界を越えたあたりがイグルー適地でしょう。

イグルーではありませんが、私がテント張った場所より100mくらい標高の高いところで、大規模なブロックで囲んで整地した跡がありました。



翌朝3時50分起床、4時半に出発しました。
テント内は−1℃!とても暖かくてびっくりです。標高2000以上ある場所なのに。

歩き出してすぐ、コンタクトの替えもメガネも置いてきてしまったことに気づきました。ピッケルカバーなくしたり、インナー手袋が片方どこかにいったりと、今回うっかりが続いています。


森林限界越えた見晴らしのいいところで、東の空が赤く染まってきました。

前常念岳の頂上で日の出が見れたらいいな、と思っていましたが、間に合いそうにありません。

刻々と変化する空が気になって、何度も足を止めてしまいました。

ついに現れました。でっかい太陽!

日の出をバックに自撮りしました。

昨日に引き続き、とてもいい天気です。風も殆どない。
大天井岳方面もバッチリ良く見えます。

穂高も、よくみえました。

どこが前常念岳だったかわからず、いつのまにか過ぎてしまったようです。分岐の看板のとこまで来てしまいました。


雷鳥かもしれない声がしました。が、姿はみえませんでした。途中、雷鳥のフンが1つ落ちていたのでいるはずだ、と思いました。

ここまで風は殆どなかったのですが、常念岳頂上付近からは雪煙があがっているのがみえました。
なので、予想通り、山頂付近まで来るといきなり風が吹き荒れました。常念岳は夏に来たときも風強かったので、よく風があたる地形なのでしょう。

くるくる渦巻いてアラレが吹き上がる写真を取りたかったのですが、スマホのため、落とすのが怖くて断念しました。

風がない状態の時の写真はこちら。

カッコいいシルエットです!

ここから常念岳山頂はすぐでした。
頂上にいる間、風はピタリとやんでいました。
槍ヶ岳をバックに自撮り。

また風が強くなると厄介なので、サッサとトンボ返りです。
隣のテントのパーティとすれ違いました。

今日もとても暑くなりそうです。
テントに帰る途中、日帰り単独と思われる方とすれ違いました。この日、登山道で出会った人はこの方で最後でした。

テントで昼食、着替して、撤収して11時に降りはじめました。柏矢町駅まで15時〜16時に到着する見込みでした。今日は松本で一泊して、明日の朝のバスで帰ろうと思いました。

実は、年末にも泊まった松本ツーリストホテルがとても楽しみでした。一泊で下山すると決めてから、行きたくて仕方なかった。

夜遅く新宿に到着する高速バスに急いで乗るよりも、ホテルで一泊してゆったり道具の手入れをして、デリシアで買い物して、大浴場に入って、朝食バイキング(すごく美味しい)を楽しみたかったのです!!

テン泊地から、林道までほとんど一気に降りて、たったの2時間でした。

行きは長いと感じなかったのですが、ゲートまでの林道歩きがなかなか長い。橋渡って反対側は日陰で凍結してましたが、連日気温が高いせいでビシャビシャでした。もうすぐゲートというところで、猿たちが道路上でくつろいでいました。
近づいても、マイペースに毛づくろいしたまま逃げようとしません。

猿には近づきたくないです。
でも道路のど真ん中にいるので、このままでは下山できない…
さりげなくこちらの存在をアピールしてもダメ。
ストックをバッテンにかかげて、こちらを大きく見せても反応なし。
明らかに、私のことナメてます。

最終的に、アイゼンをブンブン振り回して、ストックを竹槍のように掲げて歩いていったら、
(ヤレヤレ…)といったふうに渋々道路の端へ退いてくれました。でも、立ち去らないので、(背後から襲われたらたまらん…)と、猿の方を振り返りつつ歩きました。

ゲートのところで、冬靴からアプローチシューズに履き替えました。猿で時間かかったせいでしょう、林道ゲート前を出発したのは14:15分でした。

暑かったせいか、雪からつくった水が美味しくなくて無意識に水分控えてしまったのか、とても喉が乾きました。

振り返ると、まだ常念岳は見えていますが、雲がだいぶ湧いていました。

下界は風が強くて、デカザックを背負った私は吹き飛ばされそうでした。ヨロヨロと車道をあるきました。たった1時間半のはずなのに、とても長く辛く感じました。

柏矢町には15:50に到着しました。


駅のホームからも、常念岳がよく見えました。
今朝、あの山のテッペンに行ってきたんだな、とシミジミ思いました。これからも、松本盆地から常念岳を眺める度に、今日のことを思い出すことでしょう。下界からよく見える山は、見るたびに行ったときのことを思い出せるところがいいな、と思います。

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