白峰南嶺

2023/6/28〜30 白峰南嶺 
奈良田温泉バス停からスタート 広河内岳から布引山まで

久しぶりに単独で縦走しにいくことにしました。
3月終わりから、思い切って仕事を減らして、時間はたくさんあったのですが、
クライミングツアーにでたり、新しいトポがでた小川山に通ったり、
実は一度も行ったことがなかった前穂北尾根にいったり(平日なら混んでない!)、
時間はあっても、なかなか体力が持たず、あまり山を歩いていなかったのでした。

笹山より南には美しい森が広がっています


来月はいよいよコロナ後初の海外遠征なので、その前の体力づくりも兼ねて、二泊三日くらいでどこか歩きたいと思いました。
昨年、笹山から見ていいなとおもっていた広河内岳から笹山の稜線、そして転付峠から笊ヶ岳まで繋げたら、充実しそうです。白峰南嶺と呼ぶそうです。

6月の終わりに行くことにしました。


1日目 6/28(水) 奈良田温泉バス停〜大門沢小屋

下部温泉駅。
シモブなのかシモベなのか忘れてしまう。


甲府経由、身延線にて下部温泉駅へ到着。
ヤマセミ号に乗って奈良田温泉までいきました。
去年の笹山ダイレクト尾根(積雪期)のときも、同じルートでアプローチしたのですが、その時は甲府前泊しました。家から始発でいっても、奈良田温泉12:55着のバスしか乗れないのです。笹山ダイレクト尾根、昼過ぎ着のバスできた若者がいて、体力に自信あればいけるんだな、と感心したものです。

今回は、大門沢小屋までだし、日も長いし、夏装備で軽いので、昼過ぎスタートにしました。

大門沢登山口へ行く林道のゲート


梅雨真っ只中なので濡れネズミ覚悟でしたが、予報に反して、カンカン照りスタートです。そういえば去年の常念山脈も、一昨年の八ヶ岳も梅雨時期なのにいい天気でした。

カンカン照りの林道


工事車両行き交う道路を奈良田第一発電所トンネル前まで早歩き。そこから暑い林道をあがって登山口へ。トンネル手前と、登山口と、それぞれ下山してきた単独の男性とすれ違いました。
しばらく工事現場や発電所の設備など人工物に囲まれて登っていきました。
最初にでてきた立派な吊橋は全く怖くなかったのに、2つめの揺れる吊橋は、怖かったです。

揺れる吊り橋


この日は、ヘビがつま先をかすめて横切ったり、アナグマと鉢合わせたり、慌てたタヌキが斜面をでんぐり返ししながら逃げていったり、野生動物との素敵な出会いに恵まれました。熊には会わなくてよかったです!

穴熊に会ったあたり


タヌキのでんぐり返し、平成たぬき合戦ポンポコみたいでした。動画撮りたかったけど一瞬すぎました。

紅茶とホワイトチョコのパン


登りは汗だくでした。一度だけ休憩。甲府駅で買ったパンを頬張りました。

つい一昨日に復旧したらしい丸太橋を渡りました。歩きやすいです。

水量豊富な大門沢


結局、雨に一滴も降られずに大門沢小屋に到着しました。小屋前に男性四人がたむろしていました。小屋の人たちでした。テン場代を払おうとしたら、営業前だからご自由にどうぞー、と言われました。知らなかった、ラッキーです。
今回の行程で、人にあったのはここが最後でした。

テントから富士山が見える


テン場から富士山バッチリ見えました。
水場もテントの脇にあって便利でした。

テントの中に入ったら雨が降ってきました。すぐに土砂降り雷雨となりました。計ったようなタイミングです。(私はいつも天気に恵まれている気がします。)

今回のご飯アイテムたち


雨音と雷鳴を聞きながらご飯タイムです。
ご飯アイテムを少し紹介しましょう。

アイリスフーズのアルファ米。今まで尾西でしたが、在庫無くなったのを機に乗り換えました。粒は立ってないけど、味がよく、栄養価も若干高く、そして安かったのです!

お出汁がしみた油揚げ。刻み揚げはよく売ってるけど、一枚まるごとのタイプが近所で見つからず、ネット通販で箱買いしました。味噌汁に入れても、お湯で戻しても、そのまま食べてもOK!

桐のまな板。セリアで購入。軽くて良いです。ぴよちゃんダンボールは、コースターのみにしました。



2日目6/29(木) 大門沢小屋〜広河内岳〜転付峠

なかなか眠れなくて、ラジオ聴いたり読書して、20時半に就寝。1時に起床。予定通り2時にでました。
不気味なくらい静かでした。フクロウもヨタカもトラツグミも鳴いていません。

沢沿い登山道は、熊が怖くて警戒音を発しながら登りました。コマドリがたった1回だけヒンカラカラカラと鳴いてびっくりしました。

こわごわした気持ちとは反対に、足取りはすごくよく、予定よりずっと早いペースで高度をかせいでいました。すると、雨が降ってきました。

テン場では、携帯電波が全く無かったので、直前の天気予報は寝る前ラジオできいた「晴れるが大気の状態が非常に不安定」という情報のみ。

電波が入ったので、雨雲レーダーをチェックしたら、一時間後、この辺りは土砂降り真っ赤っ赤と表示されてビックリしました。
このまま稜線にでたらまずいかな、どうしよう?と考えましたが、ゆっくり登り様子をみてみることにしました。この後、携帯電波はまったく入りませんでした。

30分くらい雨足は強かったのですが、日の出前に空が明るくなり、鳥たちが鳴きだして勇気づけられました。

神秘的な日の出


きれいな日の出もみれました。ガスに光が拡散してオレンジと紫色のグラデーションとなり神秘的な雰囲気でした。

明るいガスに包まれる


このまま晴れてしまうのでは、と期待してしまいます。が、期待通りには行かず、また灰色の厚い雲に覆われてしまいました。

するとなにかの気配がしました。

動物発見

テンです!
こちらに気づいていましたが、逃げずにクンクン忙しそうでした。

ウロウロするテン


そんなに雨は強くなさそうなので、予定通り稜線に出ることにしました。稜線の直前で、軍手をレイングローブに替え、レインウェアの中に一枚長袖をきておきました。

雨はさほどでもなかったのですが、風がすごくて、岩かげから岩かげへ、風の息を読んで、素早く移動しながら広河内岳までいきました。

広河内岳、風が強くてサッサと過ぎました。


広河内岳すぎると、稜線の向きが変わったせいか、風が弱くなりホッとしました。それに、晴れてきました!
富士山が現れた!


稜線が輝いて見えてテンションあがります。
携帯電波も復活したので天気をチェックしようとしたら、すぐ電波はなくなってしまいました。

光がさす稜線



その後、晴れたと思ったのに風とともに雲が湧いてきて、また強風のなかをブルブル、ヨロヨロすすみました。大籠岳のあたりは身を隠すところがなくて、困りました。

白河内岳山頂


白河内岳をすぎてやっと平和な感じになりました。

緑色の笹山


笹山の北峰と南峰の間の樹林帯でコーヒータイムとしました。テン場からここまで7時間、初めて座っての休憩でした。

森の中にあったモコモコ


笹山から転付峠へ行く道は、最初ちょっとわかりにくいところもありましたが、思っていたよりずっと快適でした。天気もポカポカ…というよりカンカン照りになって暑かったです。さっきまで手足が痺れるくらい寒かったのに…

山頂から転付峠へ向かう1

山頂から転付峠へ向かう2


気持ちのいい森の中をひたすら下っていきました。
奈良田越に到着。いろいろ散乱していました。

奈良田越


奈良田越から先は、廃道になった林道。あちこち崩れたりしていますが基本は歩きやすい。
カーブミラーは、鏡が綺麗で、そんなに古くなさそうにみえました。

きれいなカーブミラー


1箇所、ものすごい崩壊したガレ場で怖かったです。もしかしたら巻き道見逃していたかもしれません。

崩壊した箇所


久しぶりに12時間以上歩いて足裏が悲鳴をあげました。

転付峠につきました。
荷物おいて水だけ汲みに行って峠に泊まるか、水場で泊まるかちょっとなやみましたが、到着が14時で、峠のテント晴れそうなとこが日なたで暑そうだったので水場に泊まることにしました。気持ちいいところでしたが、ゴミとハエが多いのが残念。

テント設営時、芋虫がフライについていたので、指でピーンとしたら、虫がいたところまあるく穴が開いていました!葉っぱ食べるみたいに、フライ食べちゃった?!

今日は、夕立来ませんでした。
さて、天気予報をによると、明日は出発からゴールまでずーっと雨のようです。このまま田代発電所へ降りてしまいたい気もしてきました…


3日目 6/30(金) 転付峠~笊ヶ岳〜大島バス停

また20時に寝て、1時起床。雨音で起きました。
すぐ近くにフクロウがいて、うるさかったのですがぐっすりよく眠れました。今日は、ヨタカもフクロウも鳴いて賑やかです。

昨日の弱気はどこへやら、はりきって2時に出発。峠まで登り返してから、まず林道を1時間あるきました。

もう役に立たない看板


看板やカーブミラーはそんなに古くなさそうなのに、登山道にはしっかり木が生えています。いったい、いつから車が走れなくなったのでしょうか。

雨は強くなったり、弱くなったり繰り返しています。ひたすら歩いてアンテナのある生木割山を通過しました。生木割って、すごいネーミングです。

生木割山の山頂

3時間後には全身ビッショリでした。
濡れたイワカガミはきれいでした。

イワカガミ


開始3時間くらいで足裏が(今日はもう疲れたかも…)と弱気になってきました。
でも、最終バスに間に合うために、ペースを落とすわけにはいきません。(もしだめなら途中もう一泊すれば良いのですが、翌日の天気がさらに悪そうだったので避けたかったのです)

ガレにでたら、すごい風が静岡側からふきあげていました。一瞬怯みましたが、昨日の風に比べたら大したことはなく無事通過。

ガレバ


ガレ場を通過後、ハイマツの藪が現れました。よーし!!と気合を入れてモシャモシャ格闘したのですが、ふと、藪こぎなんてあるんだろうか?と我に返りました。昨日のルート上には、地図に「ハイマツ藪こぎ」と書いてある場所があったのに、実際はハイマツの間を歩くだけでした。今日のルートには藪こぎなんて説明はいっさいなかったはず。おかしいと思って地図を見直したら、ガレ場の後は、キュキュッと向きを変えて尾根を下るようです。しまった、と思い藪を引き返しました。とにかく、ハッキリわかるところまで下りよう、とひたすら戻ったつもりが、いつの間にか尾根下りの正しい道に入っていました。タヌキに馬鹿されたような気分でした。
※間違えた道は偃松尾山へいく踏み跡だった模様。ハイマツオっていい名前です。

雨は、また激しくなってきました。椹島下降点まできて、少し休憩しました。ここで腹痛です。それにすごい風の音で、山頂が心配になりました。
しかし登って行くと、雨風は止んでしまいました。

笊ヶ岳を予定より10分早く通過できて、ホッと、一安心です。

笊ヶ岳山頂


もちろん展望はゼロでした。
真っ白です



今回、小笊はスキップしました。次は布引山です。一旦くだって、また登ったらまた雨風強くなってきました。何気なく切り株に足をおいたらつるーんと滑って転んでしまいました。

ここで転んだ!


布引山をすぎて、またガレ場です。
やはりここでも静岡側からものすごい風がふきつけています。下から吹き上げているので、滑落しにくくてよさそうなところですが、もし風が、いきなり止んだりしたら、バランス崩してしまいそうで怖いです。しかも、縁は粘土質でヌルヌルすべって嫌なかんじてした。

ガレ場を振り返る


無事通過して、森の中にはいると風があたらず平和になりました。風の音がすごく、木々がゆれるのはまだ見えましたが…



ギョリンソウ


ギョリンソウがあちこちありました。
時々ふんわりガスにおおわれて森がきれいです。

美しい森は続く


標高下げるにしたがって、落葉広葉樹の林になり、ヒルが怖くて駆け下りました。事前の調べでは、雨畑から笊ヶ岳にヒルはいないようなのですが、生息域は拡がっているだろうし、私が笊ヶ岳の下りでヒルにやられた人第1号になってしまう可能性があります。用心するにこしたことはありません!

桧横手山で休憩した時、靴をチェックしたら、小さいヒル!!と慌ててアルコールスプレーを吹きかけたら、ただの細長い葉っぱでした…ヒルの幻に慌てふためいてしまいました。
私は、熊やヒルに会うのが本当に嫌みたいです。

広河原まできました。よく泊まっている人がいる雰囲気で焚き火の跡がありました。

どこを渡ろうか?


どこから渡ればいいか、よーく観察してから渡りました。この時、雨が止んていて良かったです。

駆け降りて暑くなり、汗ビッショリになったので、広河原でレインウエアの上着を脱ぎました。
ポケットがないので、携帯はザックの中へしまいました。早く山を降りて、濡れた服や装備を片付けてバスに乗る準備をしたかったので、ここから林道終点付近までの写真はまったくありません。
が、橋が傾いてたり、土砂崩れがあったり、高い吊橋があったり、ところどころに面白いものがありました。大雨の後に崩れることがかなり多い印象です。
もし、つり橋が壊れたり大規模な土砂崩れがあったりしたら、この道を通って下山するのは不可能だなと思いました。

道は木が生い茂っていて雨でも濡れませんでした。いつの間にかまた、雨はザーザー降っていました。

林道終点近くに、集落跡がありました。2軒ほど、建物が残っていてキレイに管理されていました。
養蜂や林業の作業小屋として使っているのでしょう。

きれいに管理されている廃屋


ドーラかな?


あとは、車も走れる現役の林道をひたすら歩きました。いろいろ食べながら歩きました。

思ったより早く老平に到着し、雨畑のトイレの場所まで来ると雨はすっかり止んで晴れてきました。やはりいいタイミングです!

道路脇の広い乾いた良いスペースを見つけて、荷物を整理したり、着替えたりしました。サンダルになってここから車道を1時間くらい歩きます。

また雨が降ってきたので、傘をさして行きました。
意外と交通量があり、狭いトンネル通過時は緊張しました。


車のすれ違いは出来なさそうなトンネル


道路脇の斜面に、変なものがあるぞ、とよくみたら、フリーズしたカモシカでした。カモシカはなんでいつもジッとしているんでしょう。


カモシカ、振り返ったまま、固まっています



その後、今日一番の土砂降りになりました。傘が意味ないぐらいの猛烈な雨で、せっかく着替えたのにまた濡れてしまいました。バス停までの残り10分が今回の工程で一番つらかったです…


バス停近くに自販機があり、フルーツオレ飲みました。
本当はコーラが飲みたかったのになかったのです…

バス停には直売所があって、軒下にベンチもあって、助かりました。雨宿りついでに、おみやげを買いました。


なめこの缶詰と芋茎(ずいき)


バスが来る頃、また晴れ間が出てきました。
来たときと同じように、ゆっくり鈍行で、甲府、大月、八王子と乗換えて横浜に帰りました。

ヒルはいませんでしたが、ダニみたいな虫に30箇所くらい刺されていてとっても痒いです!

帰ってきてから、雨畑ダムのことや、富士川、大井川の水のことについて調べて、いろいろ考えさせられました。今度、転付峠を越えて大井川のほうにおりてから登って見たいと思いました。

コメント