久々の海外遠征 カナダ 1ヶ月 その2 2度目のバガブー

その1の続きです

KainHut


■5日目 7/17(月)バガブー州立公園のアップルビーキャンプ場へ

この日は荒天予報でしたが、その後はしばらく天気が良いようなので、Applebee Dome キャンプ場に6泊することにしました。

2日クライミングして、1日レスト、また2日登って、最終日は下山のみ、のゆったりプランです。
前回のバガブーでは食料を削ってヒモジイ思いをしたので、今回はいろいろ持って行くことにしました。チーズとかヌテラとかパンとかドライソーセージとか。


スピリマチーンの街のあたりから未舗装路に入ります。もう少し遅かったら、列車が来てしばらく渡れないところでした。貨物列車はすごく長くて100両近くある上にスピードがゆっくりなので、かち合ったら10分くらい待たされたかもしれません。

前回はラジウムホットスプリングの街の方からアプローチしたので、こちらの道路は初めてです。未舗装路にしてはとても走りやすい道でした。やがて見覚えのある複雑な交差点にて、バガブートレイルに入りました。しばらくは牧場沿いで、携帯電波が入っていましたが、やがて全く入らなくなりました。

バガブーロッジの分岐まで、記憶よりもずっと長く感じました。


バガブーロッジへの道と分かれると道が凸凹になり、悪路になりました。天気も悪くなってきました。
前回は、雨雲で見えていませんでしたが、この道からHoundToothやBugabooGlacierがよく見えました。
SnowPatchも見えましたが、雪のパッチがない!?のでびっくりしました。(近付いて見たら、パッチ部分が岩砂で黒くなっていました)


駐車場に着くと、激しい雨になりました。他にもう1台、到着して準備していた人たちがいましたがやはり車で待機するようです。
天気があまりにもひどいなら車で1泊したほうがいいかだろうと思いました。バーベキューの時に教えてもらった、カナダ名物:トマトケチャップ味のポテチを食べながら天気回復を待ちました。おいしいけれど1袋イッキに食べたら舌がヒリヒリしてしまいました。




1時間ほどで晴れ間が広がったので、出発することにしました。
ポークパイン(北米のヤマアラシ)がタイヤやブレーキワイヤを食べてしまわないようチキンワイヤーを巻くのですが、このところ被害は全くなくて、しなくても大丈夫、と聞きました。しかし、余っているワイヤーが転がっていたので、巻きました。1週間も置き去りにするので、ポークパインじゃなくても何かの動物が入り込んでいたら嫌だと思ったのです(実際、リスが車のタイヤの穴に出入りするのを目撃しました)




駐車場の掲示板を確認したところ、ハウザー=ピジョンのコルでのビバークに関する掲示はなくなっていました。前回は、KainHutで申請すれば2泊までOKとのことでしたが、今はNGでしょうか。

さて、はりきって出発です!
最初は小川の流れる平らな森の中を歩きます。蚊がたくさんいて、何箇所か刺されました。
蚊が嫌で早く歩きました。登り坂になると雷が轟いて、またザーっと降ってきました。休憩がてらしばし雨宿りしました。カッパを着て歩き出すと、すぐに強い日差しで暑くなりました。カッパを脱ぎました。

森を抜けてお花畑が見えました。
前を歩くパーティが何やら写真を撮っています。マーモットが岩の上にいるようです。



濡れた毛皮を乾かしているのでしょうか。
岩にぺったりと寝そべっています。


離れたところからマーモットの岩を振り返ると、なんと、子供もいました。




お花畑を登って行くと、また雨になりました。木のあるところまで急いで登って、また雨宿り休憩です。しばらくすると雨は止んでまた強い日差し・・・
だんだんと天気は良くなっているようだ、と希望を持って、ハシゴ・鎖場を抜けました。



KainHutが見えましたが、ここからが結構長いのです。まだHutまで300mくらい標高差があります。
ApplebeeDomeの基部にあたる瑞牆山みたいな岩壁を眺めながら休憩して、Hutまで頑張ろうと歩き出したら、また雨になりました。



Hutまでは後少しです。

雲がワアーと湧いてきて、あっという間に本降りになりました。


すぐ止むだろうと思って、カッパを着ずにいたのですが、ここ一番強い振り方になりました。しかも、霰のようです。素肌にあたって痛いです。

これまで、私の後ろをゆっくり歩いていたはずのSがすごいスピードでHutに入っていってしまいました。一方、私は、なぜかこの時、全く早く歩くことができなくなっていて、ヨロヨロとHutを目指しました。途中、下山するクライマーらしき人が道を譲って待っていてくれました。Hutの入り口に行くと、知らないお兄さんがドアを開けてくれて、迎え入れてくれました。私の哀れな姿に同情したのでしょう。

ひとまず中で休憩しました。
前回はここでキャンプの受付をしたのですが、Hutに管理者は不在でした。Hut宿泊者の話だと、Applebeeのキャンプ場に係の人が直接来てくれるらしいです。

空はまた晴れてきたので出発しました。虹が出ていてとってもきれいでした。
今日の雨はこれが最後でした。




Applebeeまで1時間くらいかかるかも、と思っていましたが、そんなにかからず辿り着きました。
テントを張る場所を探しました。いい場所が空いていました。近くに荷物入れみたいな小さいテントと、泊まり用のテントが可愛らしく並んでいました。と、思ったらその2つはH大OB2人のそれぞれのテントでした。(荷物入れかと思ったのはモンベル の1人用でした!なんて小さく見えるのでしょう)


私の白いテントは、白い岩に擬態しています。


しばらくすると、係の人がきて、テントに付けるタグをくれました。


他の人たちのテントは、日本であまり見ないタイプのものもあり、興味深かったです。
フライが天井付近にしかないやつとか、寝袋型とか、三角屋根タープだけで野晒しの人もいました。パラソル見たいにストックを竿にしたタープです。

BSコルを見ると、登るのはもちろん、下降にも使えなさそうです。前回8月半ばに来た時より明らかに状態が悪そうに見えました・・・

翌日H大OBたちといろいろ話しました。
明日はEastCreekに向けて出発するとのことでした。


■6日目 7/18(火)McTechエリア PaddlesFlakeDirect

昨日の荷担ぎのせいか、疲れていました。
この日は、近場でアプローチもわかっているCrecent Spireへ行くことにしました。天気は最高です。


湖のフチを歩いて向かいました。





基部のガレの登りでちょっと苦労してしまいました。
壁の取り付きのレッジに到着すると、すでにワイワイ賑わっていました。前回もそうでした。人気エリアです。PaddleFlakeDirectのルートはわかりやすく、Sが登り始めました。


私は、というと、”おっかなスイッチ”が入ってしまい、ほぼ全部フォローでした。登ってみると全然リードできるレベルのはずなのですが・・・


ルート名の由来になったPaddleFlake部分を登ります。


上の方にはチムニーもあり面白かったです。
頂上で眺めを楽しみました。
前回来た時より、すごく空気が澄んでいて、遠くまでよく見えました。

Crescent Towers方面



Patchが汚いSnowPatch

ここからだと、とんがってみえるBugaboo

Applebeeからは見えない東方面

下降を開始しました。


下降中、別のパーティがPaddle Flakeを登っていました。


帰り道の湖。雪が少ないです。


夕飯はクスクスにしました。ドライソーセージやズッキーニと混ぜ合わせました。

ご飯を食べていると、ジリスが近づいてきます。



■7日目 7/19(水)Ears Between

昨日よりは元気でしたが、まだ体調がイマイチでした。
この日も近場にしました。少し長いのを登りたくてEarsBetweenにトライすることにしました。


CrecsentのSouthTowerのロバの耳(DonkeysEars)の間を目指していくルートです。

昨日、取り付いているパーティーがいましたが、今日は誰もいない模様です。
アプローチの道は、悪く感じました・・・

EarsBetweenは、本来は上の棚まで歩いて行ってスタートするのですが、10くらいのクラックを通って下の壁からも登るダイレクトバージョンがあります。私たちはダイレクトバージョンでスタートしました。
ちょっとワイド気味なクラックから始まります。



60mで従来のスタート地点までいけるらしいですが、途中で切りました。
残り半分はSがリードました。

そして、従来のスタートから5.7のピッチを私が登りましたが、随分簡単すぎると思いました。




続いて、Sが登りますが、なんだかルートがはっきりしません。どこでも登れるようで、目指す”耳の間”に向かう明確なクラックがありません。そこで、私も上がって様子を見に行ってみました。結局、Off Routeだと判断し、いいところにあった残置スリングで懸垂でおりました。

どうやらアプローチのレッジの場所を勘違いしていたようです。
私が簡単すぎると思ったところはまだ1P目ではなかったのです。

とても暑い日でした。すでに日も高くなっていたし、このまま懸垂で取り付きに戻れることがわかっていたので、降りてしまいました。

行きと同じ、悪かったアプローチの道を下って、壁のよくみえるところで反省会をしました(下りはうまいこと降りれました)。


キャンプ場でゆったり過ごしてこの日は終わりました。





■8日目 7/20(木)EastCreekBasinを偵察へ

今回、まず1回目のバガブーで、いろいろ近場で登って慣らしつつ、ベッキーシュイナードの取り付きに近いEastCreekBasinを偵察に行き、日を改めてベッキーシュイナードをやろうと考えていました。

それで、バガブー3日目の今日は、レスト日を兼ねてEastCreekBasinまで行くことにしました。
SnowPatchを回り込むようにしてBugabooGlacierへ行きます。こちら側に行くのは初めてで、ワクワクしました。



間違えて、すぐにGlacierに入ろうとしてしまいました。落石危険エリアを行くところでした。この後、先を行くパーティが落石を起こしてモウモウと砂埃が舞い上がりました。下のGlacierにいたら危なかったです。


Glacierに到着しました。
Pigeon=SnowPatchのアイスフォールから流れ込んだ氷河は、溶けかかって川みたいになっています。ここで前のパーティに追いつきました。彼らはアックス、クランポンに加えてロープも準備しているようです。
私たちはロープを持ってきていませんでした。水が流れて溝だらけの氷河を見て、どうしようかな、とちょっと迷いましたが、行くことにしました。
氷が割れませんように!



その後、対岸のしっかり白い雪の上について一安心しました。
写真は対岸からみたIceFallです。

それから雪斜面を黙々と登りました。トレースもあって、至極快適です。

ロープアップした前のパーティが見えます。


傾斜の緩い上部に出たら、それなりに亀裂が走っていました。
PigeonFeather AccessGullyの方に足跡が続いていました。追って行ったら、デカザックの荷物が残置されています。
ここに荷物を置いてGullyを下ってEastCreekへ行ったのでしょうか?
それともGullyを登ってきて、荷物を置いてどこかに登りに行ったのでしょうか?

PigeonFeather AccessGullyが良さそうなら、ここからEastCreekへ向かうつもりでした。トポにも、駐車場から直接EastCreekを目指すなら、一番近い、と説明されていたからです。ただ、どのくらい”悪い”道なのかがわからず、様子を見にきたのです。



荷物のある左側(左岸)からは降りられそうになかったので、反対側へ行くことにしました。
先にSが進んでいったら、「ぎゃあ!」と声が・・・。
ドボンしてしまったようです。
立っていたら突然足元の氷が割れたらしい。膝下で済んでよかったですが、靴はビショビショです。幸い、強い日差しの下、乾いた岩のうえで休むことができました。

Sに先へ進むかどうか確認したら、ビショ靴のまま行ってくれるということでした。ありがたいことです。
私が先にGullyの様子を見にいって、大丈夫そうだと判断してSを呼びました。

が、実際降りていったら、水がそこそこ流れている砂っぽく足場が崩れやすい急斜面が続いていて悪かったのでした。早々に後悔しましたが、空身だし、アックスもあるし、思い切って降りようと先へ進みました。そして行き詰まりました。

Sが、こっちの方が道っぽいよ、というので、Sの方へ横断しようとしました。すると、沢の真ん中らへんで、足元の岩砂が大きく崩れました。「あ、このまま流される」と思いました。

下部が崩れたせいで、上からも岩が落ちてきて目の前に転がりました。私の手の上と膝に乗りました。すると、転がり込んだ岩が、偶然にも良いバランスを保って持ち堪え、アックスと胸に襷掛けしていたスリングがうまい具合に引っかかって、私はそこにぶら下がって落ちずに済んだのでした。
私が止まったのでSは笑っていましたが、左手と左膝が痛くてしばらく動けませんでした。

足元ではモウモウと砂埃を上げて地面が崩れていました。危機一髪でした。
出血はしてないし、感覚もあるので大事には至っていないと思いましたが、ひとしきり痛いのが治るまで待たないといけませんでした。痛みが和らいだところで、さっとSの方へ渡りました。が、さっき私がいたところとさして変わらない様子でした。全然道っぽくないし、崩れやすい。ただ、もう少しで雪渓に降りられそうに見えました。それで頑張ってなるべく素早くおりました。これ以上、岩雪崩に巻き込まれたらたまりません。

早く雪の上でサクサクしたくてたまりませんでした。が、雪渓の上の方はツルツル氷で難しく、もどかしい思いをしながら降りて行きました。白い雪の斜面になってからはアイシングを兼ねて左手を雪に突っ込みながらおりました。左手は痛くてアックスが握れなかったです。
無事に平らなところに降りてから、再度手を確認しました。見た感じは全くなんでもないのでホッとしました。EastCreekBasinはまだまだはるか下のようでした。思ったよりもたくさんの人がいるようです。カラフルなテントがたくさんありました。



ちょうど、Pigeon=Howserのコルへ向かう2人が見えました。さっきの下りのところよりずっと簡単そうでした。ここからPHコルを登って戻ることにしました。




水が流れてツルツルしているところ、亀裂が入って乗っこさなければいけないところはありましたが、まだ安全に歩ける状態でした。



最後、雪が消えてザレに乗るところが少し悪かったですが、それ以外は私でも歩きやすいガレでした。
写真の壁の向こうに降りてきたGullyがあります。


安全にPHコルまで行けてホッとしました。ただ、来週になったら氷河はもっと溶けてしまうでしょうし、全荷を背負った状態やベッキーシュイナードを登った後の夕暮れの中、ここを登り下りできるのか、自信がありませんでした。

その後、ピジョンのWestRidgeの取り付きのところ(トイレがあるところ)に行くと、ゆっくりしていたクライマーに会いました。いきなり現れた私たちにびっくりしたみたいで、どこからきたのか聞かれました。まだ興奮していたので、身振り手振りを交えて私の岩雪崩アクシデントについて語ってしまいました。

ピジョンのWestRidgeは大人気でたくさんの人が登っていました。


これまでの行程を図で説明してみましょう。



青線が、Gullyを降りるルートで、★が雪崩れたところ
赤線がPigeon=Howserのコルを経てPigeonのWestRidge取りつきへ戻った道です。
ログをとったわけではないので、大まかな線です。
確かに青線は短いですが、Gullyが急峻なのは地形図からわかります。


さて、WestRidgeの取り付きを後にして、水が流れる斜面を降りました。
昨日に続き、気温が高い日でした。どんどん氷河が溶けて行きそうです。
WestRidgeまでのGlacierも、来週にはズタズタになって、訪れる人が少なくなるかもしれないと思いました。





割れ目を縫うようにジグザグに進んでおりました。




斜面の下に戻ってきました。行きよりも水が多くなった気がしました。



キャンプ場に戻る頃にはぐったりしてしまいました。

左手は、少し腫れてきて、ジェットボイルのつまみを回すのが辛いくらい痛かったです。加えて、右手の小指の付け根も腫れ上がっていました。翌日腫れなければいいな、と思いました。

PaddleFlakeはおっかな状態だったし、EarsBetweenは敗退だし、なんだか調子が悪いなあとションボリしてしまいました。

疲れたのと、ションボリしたのと、手の状態を考えて、翌日はレストに決めました。EastCreekの偵察はまったくレストになりませんでした。

*この日、Aが友人たちとアップルビーに到着しました。テントはH大OBたちの跡地にありました。モンベルだからすぐにわかりました。



■9日目 7/21(金)近場を散歩、Pica観察


意気消沈の私でしたが、Applebeeの朝は今日も美しい。
いい天気が勿体ないので、KainHutから直接、BugabooGlacierに行く道を確かめに行こうと思いました。まだ、Beckey=Chouinardを諦め切れていませんでした。


Hutまで降りて、ボルダーのキャンプ場も見に行きました。Applebeeより小規模で、林の中にあります。テントは1つしかありませんでした。

そこから、SnowPatchのToeの方に向かって登って行き、昨日も通ったトレイルに合流しました。途中で、マーモットと雷鳥に会いました(昨日も会いました)


マーモットは逃げてしまいましたが、雷鳥は、いい感じにポージングしてくれました。


左手はぼんやりと手のひらに「あおなじみ」がうかんでいたものの、昨日より痛くなくなっていて、腫れもひどくありませんでした。ジャムだこと見分けがつかないくらいです。直後のアイシングが良かったのかもしれません。

Applebeeに戻って、テントより少し下にある岩場に降りてみたら、立派なクラックがあって登っている人がいました。これは便利な場所にあるなあと、眺めていました。
そのあたりでPikaがミーミー鳴いていて、近くに現れないかと待ちました。
今回、まだじっくりと可愛いPikaの姿を見ていなかったのです。

ふと見ると、PikaがSの座っている後ろを横切ろうとしていました。
「Pika後ろにいるよ!」と声をかけたら、私にびっくりしたピカが慌ててSのほうに隠れようとしたのです。
振り向いたSの手にPika激突!
両者とも何が起きたのかすぐに理解できずにいました。Pikaは黒い服を岩陰と勘違いしたのかもしれません。


Pikaはその後すぐ、本当の岩陰に入っていきました。それからしばらく、巣に葉っぱを持ち帰るためセッセとはたらくPikaを観察しました。



■10日目 7/22(土)ザ・クラシック 

今回のBugabooでクライミングできる最後の日となりました。
痛めた手が大丈夫だとわかったので、昨日のうちに、三ツ星クラシックのSnowPatchRouteに行くことに決めていました。

実は、昨日、AたちもSnowPatchRouteに行っていました。帰ってきたのは20時過ぎくらいだったようです。私達が早々に寝たあとでした。落石がヤバかったと話がかすかに聞こえました。

朝まだ暗いうちから行動開始しました。4:00出発です。
今回、初めてヘッデンをつけて歩きました。暗いせいか何度も通っているキャンプ場のすぐ近くの道を間違いました。

前方にスノーパッチに向かうヘッデンの明かりがみえました。Hutからも続々人がやってくるようです。





SonwPatchRouteへの分岐のところで一休みしました。




見た目より易しいガリーを登り、取り付きに向かいました。



取り付きに来ると、ちょうど日の出でした。


朝日を浴びながら、登攀スタートです。

西からガリーをのぼったあと、尾根の東側にいったんでてから、西にでて、東に戻る、みたいに最初は蛇行します。
先行パーティがいて、私たちがガリーを登っているときに、バガブーグレーシャー側(西側)を巻いているところでした。



私が1ピッチ目リードしましたが、どこで西側にでるかよくわからず、あまりロープ伸ばせませんてした。ほぼ歩きでした。
2ピッチ目でSが西にでるコルまで伸ばして一安心しました。

その後、西側におりて、spurを越えて、凹角のところまで、のはずが、
なにを勘違いしたか、私はみごとな曲線状のフレーククラックを目指してしまい(スキーのシュプールみたいなクラックだった)そのクラックをのぼってしまいました。上に行くに従って、クラックは細く浅くなって…難しそうだと思ったので、クライムダウンしました。ロープは重たく、全然見えないところにビレイヤーがいるので、クライムダウン中、ロープはダルダルになってしまいました。落ちても確保されないでしょう。おっかなかった!

なんとか無事おりたあと、本来のルートである凹角を登りました。流れは悪かったけど、ロープいっぱい伸ばしてテラスまでいきました。3ピッチ目と4ピッチ目を繋いでしまいました。



残置視点もあり、きれいなテラスでしたが、ここからどこをのぼるのか「???」でした。左にキレイな白いコーナーがありますが、それは無視しろとトポに書いてあります。
迷いましたが、とりあえず上に出れば何とかなるか、と、適当なクラックをのぼりました。
あちこちに残置スリングやハーケンがみえました。みんな迷ったり、アレンジしたりして登っているのでしょう(トポにもいくつかバリエーションある、みたいなことが書いてあったと思います)


それから少し進んで、やっとトポの記載どおりだとはっきりわかる状態になり安心しました。


私がフォローで、クラックをトラバースして行ったら、ビレイするSの横に滝が流れていてびっくりしました。Patchの雪が溶けて川になっていたのでした。


前のパーティが落石しているのかと思っていたのですが、この川まで来て、溶けた雪が頻繁に自然落石を起こしているのだとわかりました。


ここはちょうどPatchの下なので、早く抜けたいところです。
スラブ帯へと突進しました。スラブは苦手な私ですが、ルート取りが良かったせいか、そんなに怖くなかったです。トポにはProtectionやLedgeがCan be probrematicと書いてありましたが、ビレイする場所も良かったし、程よくプロテクションも取れました。それよりも、落石の方がprobrematicです。

次、Sがリードして、いざ私が出発というタイミングでまたすぐ近くを落石が通過しました。頭より大きいやつらでした。落石の波は、3、4回ありました。



純粋なスラブピッチは3ピッチくらいで、あとはガタガタした感じのところを登りました。
やがてInvertedPearが見えました。トポ を読んだ時、なんのことかと思っていましたが見たら一発でわかりました。Pearは洋梨のことでした。逆さまの洋梨の形をしたデカいフレークでした。



赤丸がInvertedPearで、黄色がクライマーです。


Pearの後ろでピッチを切りました。


Pearはとてもいい目印で、迷わず登りましたが、そのさきがまた「???」でした。
トポにあるWhiteCornerってどこかしら、と、うろちょろ探して手間取りました。結局、あまり白くない凹角を登ったら正解だったようです。

そこから、私の番で、またやらかしてしまいました。
明らかにOffRouteだと思った場所に行ってしまったのですが、上に行けば正規ルートと合流すると信じて、どんどん進んでしまったのです。結局、行き詰まってしまいました。なんとか上に抜けたいと思うも、弾切れで、怖くなって一歩が踏み出せず、仕方ないので居心地の悪い支点をなんとか作ってSを呼びました。

絶対に違うでしょう、と呆れられながらも5mくらい上に抜けてもらい(おそらくルート中で一番悪かった)、残置スリングやハーケンのある、それっぽい場所に出たのでした。

そこでまた私がリードしましたが、チョークあとがバンバンついているきれいなフェイスを登って行ったら、また行き止まりになってしまいました!
なんで…と思いながらいったん戻って、反対側のコーナ状まで行ったら、なんか頂上まで行けそうな雰囲気になりました。よかった、と思ってグングン登りました。
*旧バージョンのトポの図を見たら、ここのフェースを行って戻るというのは正解ルートだったようです。

頂上までロープ足りそうでしたが、適当なところで切ってSを呼びました。いろいろ迷ったお詫びに頂上へ先にいかせてあげよう、と思ったのです。






程なくして頂上でした。5年前は西面のSurfsUpというルートからここに来ました。
BSコルが使えないので、西面のルートは今シーズンほとんど登られていないことでしょう。早く登り終わったら、西面のルートを登ろうと考えていましたが、もう15時を回っていました。西側基部への下降だけで1時間はかかるし、食料が少なすぎてもう1本という感じではありませんでした。食料はエナジーバー2本とトレイルミックス少々だけでした。頂上で全部食べてしまいました。




頂上からはHowserがよく見えました。今日も誰かがBeckey Chouinardを登っているのでしょうか。

今日も空気が澄んでいて、遠くの山々が見渡せます。


ピジョンにも人影が見えました。




一昨日通ったGlacierの道は赤線のあたりです。


ロープをたたんで、下降の準備をはじめました。


私の命の恩人スリングは今日も一緒です。ずいぶんボロっちくなりました。




西面の基部へ下降した後、Pigeon=Snowpatchコルの下降路からおりました。場所はすぐわかりました。
後ろから、BugabooSpireのNE Ridgeを登ってきたというカップルに追いつかれました。BSコルを使わないでSnowpatchの下降ルートを使うと、通常より+3、4時間くらいかかるみたいです。


無事、雪渓に降り立ち、Sをロープで下ろした後、私だけアイゼンアックス使用で降りて行きました。日陰になっていたせいか、雪は硬くしまっていました。


持参した水が無くなっていたので、ここで氷河の溶けた水を直飲みしました。あんまり美味しくないです。基部の移動や懸垂下降、休憩など含めて時間がかかって、Applebee戻ったのが21:00でした。
H大OBチームもApplebeeに戻ってきていました。今日、Pigeonを登ってから、Applebeeに戻ったところだそう。さっきSnowpatchから見えたPigeonの頂上にいた人影や、Glaciererを降る人影が彼らだったのかもしれません。
EastCreekのことを聞きました。著名クライマーが来ていて賑わっていたんだそうです。おととい、EastCreekまで降りていたら会えたのになあ、羨ましいと思いました。アプローチは、HPコルを使っていて、あの悪いGullyは通っていないそうでした。




この日は長時間行動になりましたが、とても充実感がありました。
Snow Patch Routeは迷路みたいな不思議なルートでした。これが1940年代の初頭ルートだと思うと感慨深いです。




■11日目 7/23(日)下山してドライガルチへ

この日もいい天気でしたが、もう下山です。



食料がなくなったので荷物はとても軽くなりました。
最後までヌテラとスキムミルクがあったので、そんなにお腹もすかずに済みました。
来るときに見たマーモットは同じ岩のあたりにいました。
とても暑い日でした。日増しに暑くなるようでした。



駐車場について、車のエンジンがかかるとホッとしました。
私の運転中、一度、右の路肩に落ちかかってしまい、Sをびっくりさせてしまいました。寿命が5年縮んだそうです。

今度はRadiumHotSprings方面へ行くので、複雑な交差点から、行きと違う道を行きました。GoogleMapの案内通り一番近い道を降りたら、ものすごく荒れていました。車がワンワンしました。ちょっと遠回りでも、別の道を通った方が良さそうです(何かにGoogleMapの指示通りに行ってはいけない、と書いてあったことを思い出しました)
やがて、普通の未舗装路に出て、程なく国道へ出ました。


コロンビア川沿いは34℃もありました。バガブーも暑いわけです。Invermereの町で買い物をしてアイスを食べてから、RadiumHotSpringsに近い、DryGulch州立公園のキャンプ場に行きました。森の中でしたが、私たちの予約したサイトはちょうど木陰になっていなくて、とても暑かったです。蚊もたくさんいました。ドライとついているので乾燥した場所だと思っていたのにドライガルチ川沿いでした。そして、帰国後に調べたらdry-gulchって崖から突き落とすという意味でした。


この辺りは自転車に良いトレイルがたくさんあるようで、キャンプ場からもトレイルに行けるようでした。向かいに泊まっている家族の子供が自転車でジャンプしたり、後輪だけで走ったり曲芸めいたことをやっていて楽しそうでした。


かなり疲れていたので、翌日から屋根のある宿に泊まることにしました。



カナダドライ、また購入しました。BlackBerry味!


夕飯は巨大ソーセージ、マッシュポテト添えでした。

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