妙高戸隠連山 百名山3つをめぐる山旅

7月に戸隠を訪れた時、高妻山が登れなかったので、季節をかえてまた戸隠に行きたいと思っていました。10月上旬、妙高戸隠連山の紅葉を楽しむ企画です。
前回は200名山3つ登頂したので、今回は百名山3つを登ろうと思いました。

日曜から木曜の5日間、戸隠キャンプ場に2泊、それから高谷池ヒュッテのテント場に2泊の予定です。1日全荷で歩いたら、1日は空身ピストン、の繰り返し。連泊×2の楽ちん日程です。

土曜の夕方に高速バスで長野駅へ移動しました。なぜか土曜の運賃は安かったです。
今回の旅で一番心配だったのは天気でも熊でもなく、土曜夜の駅前のネットカフェに空きがあるかどうか、でした。が、無事宿泊できました。

1日目 日曜日 長野駅→戸隠キャンプ場
前回、黒姫山へ向かうときに知った「あまとみトレイル」を使って、長野駅から戸隠キャンプ場まで歩きました。




朝、5時出発。10月になって、日の出が遅くなったな、と感じました。
聴き慣れたクゥィークゥィークゥィーという鳴き声がして見上げると、市内のビルに、はやぶさがいました。




あまとみは善光寺を通るのですが、前回訪れているので善光寺パートはショートカット。
頼朝山のトラバース道から入りました。変わった模様の猫に会いました。

熊が怖いので熊よけに奇声を上げながら歩きました。里に近いところの方が、熊は人馴れしているせいか、警戒心が薄いようで遭遇率が高いです。



しばらくすると民家の裏に出て、慌てて声を止めました。静松寺(じょうしょうじ)がありました。また、山道を抜けると、次はリンゴがたわわに実る集落になりました。


里では、誰も外に出ていませんでした。とても静かでした。日曜の朝だからでしょうか、農作業をしている人は全く見かけませんでした。途中、道路でサイクリストに挨拶されたくらいでした。

やがて飯綱山登山口のある一ノ鳥居園地につきました。ここは登山客で大賑わい。前回平日でも登山者がたくさんいましたから、やはり飯綱山は人気の山なのでしょう。
ここから20分くらいにある茶屋で蕎麦を食べたかったので、ゆっくり休んで時間調整しました。
それでも、茶屋の開店10分前に着いてしまい、茶屋の前で開店待ちました。お店の人が暖簾を出したりしている前で待ち構えていました。とてもハラヘリだったのです。昨日の夜、揚げ物など食べ過ぎたせいか、朝ごはんは抜いてしまい、ほぼ飲まず食わずここまで歩いていたのでした。


大久保茶屋です。土間にカウンター席があってザックも中に持ち込めました。天ぷら蕎麦を食べて、元気になりました。
実は、ここまで舗装された道が多かったせいか、足裏が痛くなってしまって、辛かったのですが、お腹いっぱいになったら、足裏も元気になりました。
しかし、ここから戸隠古道を進むとすぐにバリバリの観光地となり、人や車が多くて嫌になってしまいました。日曜日、観光地を抜けるのは一苦労です。

戸隠キャンプ場には13時に着きました。
サービスで、パンに塗るチョコクリームを1カップもらいました。マーマレードか、チョコが選べました。マーマレードをお湯に溶かして柚茶のようにするのもいいなと思いましたが、持参したバナナチップにチョコクリームをつけて食べたら美味しいと思い、チョコにしました。

明日から雨予報なので、水はけのいい良さそうな大きな木の下にテントを貼りました。
前回泊まった戸隠イースタンキャンプ場は、とても気に入っていたけれど、日曜の予約がいっぱいだったので、今回は仕方なく戸隠キャンプ場に泊まったのです。結局のところ、この時期は値段もイースタンと比べてあまり変わらないし、空いていたし、いいキャンプ場でした。


■2日目 月曜日 戸隠キャンプ場から高妻山ピストン
昼から雨予報なので、まだ暗いうちから高妻山に出発しました。
牧場の中を熊鈴を鳴らしてウロウロする人の姿がありました。牧場作業の人かと思ったけれど、私の後ろを着いてきたので、登山口を探していた登山者だったようです。

私は弥勒尾根へ向かいました。後ろの人は一不動小屋へいく沢沿いの道へ行った模様です。
登山口まで、地図に「渡渉あり、増水時注意」とあったので身構えていましたが、一不動小屋への登山道の時に渡った沢より全然小規模でした。

熊が出そうな素敵なブナ林の尾根道でした。もちろん、熊よけにずっと声を出しながら登りました。尾根はガスっていて、上の方はさっきまで雨が降っていたようでした。2000m越えると風もそこそこ、景色は全く見えないものの、色付いた葉っぱが綺麗でした。



風もそこそこあリましたが、頂上で風を避けられるように岩があったのでそこで休憩しました。


晴れていれば眺めが良いのでしょうかレド、ガスはガスで幻想的で好きです。


帰り道も誰にも会わず。熊にも会わず。朝にいた熊鈴の人は戸隠山へ行ったのでしょうか。
標高1500くらいから雲がなくなって来ました。牧場に着く頃には日差しも出て暑いくらい、雨に降られず帰ることができました。



キャンプ場にキノコたくさん生えていて可愛らしかったです。


テントに戻ってきました。他に宿泊する人は少ないらしく、私のテントの周りには誰もいませんでした。昨日は2組ほどいたのですが、一泊で帰ったようです。
雨除けになるかなと、木の下に貼ったけれど、結局雨がすごくて、あまり意味がありませんでした


前回、定休日で行けなかったカフェは、今回臨時休業で、ガッカリでした。それで、代わりに売店で骨付きソーセージとポテチとコーラ買ってきました。骨付きソーセージを煮込んだら、いい肉汁が出たので、スープも残さず楽しみました。


今夜から、梅雨前線が通過して気温はグッと低くなる予報です。
実はシュラフを忘れてしまい、ちょっと心配です。間違ってシュラフカバーを持ってきてしまいました。まあ、シュラフカバーと間違うくらい薄いシュラフだったから、そこまで違いはないのですが。

■3日目 火曜日 戸隠キャンプ場→大谷池ヒュッテへ
夜、結構降りました。未明に雨の中撤収作業。
とはいえ、立派な屋根付き炊事場に、広いトイレ(暖房付き)があるので、パッキングは落ち着いてできました。暗い車道と林道を歩きました(熊が怖い)

この日が一番、長い時間歩き、累積標高も多い日でした。
それに加えてずっと雨なのです。
これから気温がグッと下がる上に標高2000m以上に行くので、絶対に靴の中を濡らしたくない
と思いました。頑張って水たまりを避けながら歩きました。が、大弛、といういかにもな名前の湿地の近くで、泥沼となった登山道をどうしても避けることができず、裸足になって通過しました。意外にも泥は気持ちよかったです。その先も、川のようになった道、大きな水たまり、いろいろありましたが、せっかく泥沼を裸足になってまで頑張ったのだから、最大限の慎重さで歩きました。


途中、5時間くらい歩いたタイミングで避難小屋に入って休憩しようとしたら、なんと先客がいて、しかも寝ていたので、邪魔をしないようにちょっとだけ休憩してまた歩き始めました。

笹ヶ峰遊歩道で散策中の2人組に出会った以外、笹ヶ峰の登山口までは他に会いませんでした。乙見湖通過時に少しだけ雨が止んだようでしたが、すぐまた降り始めました。


笹ヶ峰登山口で、やっと座ってまとまった休憩ができました。入域料を支払って、欲しかった雷鳥キーホルダーを手に入れました。
ここの駐車場には車がたくさんいてびっくりしました。雨でも登ってる人が結構いるようです。さすが百名山!(でも高妻山はいなかったのに・・・)

しばらく木道が続きました。下山する4、5組の人と会いました。最後の水場だという黒沢で水を汲んだら、荷物が重くなってその後の急登が大変辛かったです。テント場の池の水は飲料に適していないというので、なるべく水を多く持っていこうと頑張りました。登る最中は雨が弱くて幸いでしたが、蒸し暑くてレインウェアを脱ぎ捨てたい気分でした。

でも結局最後の方で、強雨に降られてビッショビショになりました。しかも、テン場の近くに沢があって、たくさん水が流れていました。ここのところ雨が多かったせいかもしれません。せっかく重たい水を担いできたのに・・・と恨めしく思いました。

この日は10時間半歩きました。



雨風が強くなってきていたので急いでテントを張りました。こんな天気でも、他に3張テントがありました。雨風が強まり寒い夜でした。いろいろなものがびしょ濡れで、全て凍ってしまいそうでした。

■4日目 水曜日 火打山ピストン
なかなか雨上がらず、9時くらいまでウダウダしていました。
10時すぎ、出発しようとテントを出たら、衝撃の看板が。
「ここから手前にはテント設営禁止」

私がテントを張っていたところはテント場ではありませんでした。小屋の人に申告して、謝ってすぐ移動しました。(雨がすごかったので、昨日の夜や今朝早くには、移動してと言いにくかったに違いありません)

なんか、狭いし、水は溜まってくるし、変だなとは思っていたのです。
秒速でテントを移動し、火打山へ向かいました。朝方は雲の中でしたが、この時はすっかり全体が見渡せるようになっていました。それにしても、寒いです。稜線は風も強いです。

火打山はすぐに着いてしまいました。雷鳥は、痕跡すらありませんでした。



戻る途中、日差しが出てきて、とても嬉しくなりました。下から次々に登山者がやってきました。嬉しくて、ついつい人とお話ししたりもしました。


雷鳥には会えませんでしたが、湿原の岩の上を飛び跳ねるモズをじっくり観察できました。
時間が有り余っているので、小屋で贅沢しました。ケーキセット注文しました。


晴れてきたので、いろいろ干したり、荷物を整理したりしていたら、富山からきた人に話しかけられました。ワカモンとおじさんの2人組です。ワカモンとおじさんの組み合わせは大概いい感じの人が多いと思います。「立山」の熱燗やうどん鍋をご馳走になりました。
夕方、日が陰って寒くなるまで、ワイワイ盛り上がってしまいました。


■5日目 高谷池→妙高山→燕温泉→妙高高原駅

翌朝、テントはバリバリに凍っていました。一面霜柱に霜だらけ。
凍ったフライを適当に丸めてパッキングして出発しました(妙高山を降りて広場にフライを干した時、まだ凍ったままでした)

朝、大変綺麗な夜明けだったのですが、寒さのせいかスマホはバッテリー切れしてしまい、最後、車道に出た時にいろいろ調べる分のバッテリーを残しておきたくて、日が高くなるまで充電しないでおきました(気温が低いとまたすぐ電池消耗してしまいます)。
それで、妙高山の頂上まで写真がありません。

道は、凍っていて、特に木の橋がヤバイ状態。私は四つん這いで渡りました。
後からきた女性は、水の中に落ちてしまったそう・・・

最終日ですが、とても元気でした。昨日ゆっくりしたおかげでしょう。


妙高山の頂上で、岩場から雷鳥が出てきた!?と思ったら尾の短いヤマドリでした。
こんな標高高いところにいるなんて、びっくりです。なんて紛らわしいのでしょう


燕温泉に向かって降る途中にもたくさん人が登ってきました。紅葉じきのロープウェイはまだ運行していなくて、みんな燕温泉からエッチらオッチら登ってきているようです。
温泉の匂い、硫黄の匂いが漂っています。登山口の燕温泉にある無料の野湯「黄金の湯」を楽しみにしていました。沢は白濁しています。


温泉の沢は、見事な2段の滝になっていました。この滝のあたりから舗装路になりました。


振り返ると、すっかり秋の空でした。



黄金の湯の入り口が分からなくて、降りすぎてしまい、登り返しました。温泉に向かう外国人の男性がいて、気付きました。
女湯は、誰もいなくて独り占め。男湯には下山した登山者やら、温泉にきたグループで賑わっていました。温泉から妙高山がよく見えました。




ゆっくりして、さあ道路を歩こうと温泉街まで降ったところで、腕時計忘れたことに気づき、下のバス停のところからダッシュで温泉に戻りましたが、時計がありません。
結局、ザックの中にあリました。奥会津の時と同じパターン・・・


赤倉温泉へ抜ける道が閉鎖されていたので、関温泉側を迂回しました。関山駅の方が近かったけれど、結局妙高高原駅で乗り換えになるし、赤倉温泉の街並みを見てみたかったので、妙高高原駅へ向かって歩きました。迂回路の細めの道を歩いていた時でした。車が止まって、荷物を整理したりしています。すると、「乗って行きませんか」と話しかけられました。天気もいいし、歩きたいから大丈夫と断ったのですが、遠慮していると思われたのか、なかなかわかってもらえませんでした。

本当のところ、バスを使おうかどうか迷っていました。疲れていたら、バスで移動しようと思っていて、バスの時刻はしっかり調べてありました。この先、赤倉温泉からバスがあるのも知っていました。

でも、歩いて妙高高原駅まで行くのが私の旅なのです、と断ってしまったことで、妙高高原えきまで絶対に何がなんでも歩かなくては行けなくなってしまいました。
そこまで志高く歩いているわけではなかったのですが・・・

その先は、車から声をかけられないように、なるべく楽しそうに、ニタニタ、小躍りしながら歩きました。

その先に、無料の足湯があって休憩したりしながら、駅を目指しました。


最後の国道で油断しました。また、地元の方に、「駅まで乗ってくか?」と声をかけられてしまったのです。
右側の歩道に移って(左側は進行方向の車に声をかけられやすいから)、走ることにしました。今度は急いでると思って声かけられなければいいな、と思いながら走りました。

ランニングしている人には、車に乗っていくか、とは言わないでしょう。
それとも、私が髭面の強そうな男だったら声をかけられないでしょうか。

まだまだ元気だと思っていましたが、走ったせいか、それまで気持ちが昂っていただけなのか、妙高高原の駅についたらガックリ、疲れがドッと出てきてしまいました。


電車の車窓から山々を眺めながら、頸城5山の縦走やあまとみトレイルから信越トレイル継続して走破も楽しそうだな、と思いました。


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